東京高検検事長の定年延長問題。簡単に経緯を振り返ってみると――。
「法治国家の根幹が揺らぐ」批判なぜ?
【2020年1月31日】黒川弘務・東京高検検事長の定年延長を閣議決定
【2月3日】森雅子法相が定年延長の根拠について「延長は国家公務員法を適用」と答弁
【2月10日】立憲民主党・山尾志桜里議員、1981年人事院が「検察官には国家公務員法の定年制は適用されない」とした答弁との矛盾を指摘
森雅子法相、1981年人事院答弁について「詳細は知らない」と答弁
【2月12日】人事院給与局長、1981年人事院答弁について「現在まで同じ解釈を続けている」(=検察官には国家公務員法の定年制は適用されない)と説明
【2月13日】安倍晋三首相、「今般(検察官に)国家公務員法の規定が適用されると解釈することにした」と政府解釈を変更
【2月19日】給与局長、12日の答弁について「つい言い間違えた」「現在というのは1月22日」として修正・撤回
森雅子法相、政府の解釈変更について「法務省から1月22日に検察庁法の解釈を提示」「人事院から1月24日に異論がないと回答」、さらに法務省と人事院の協議文書について「必要な決裁は取っている」と説明
【2月21日】法務省、協議文書について「正式な決裁はしていない、口頭で決裁した」と修正
2月13日、安倍首相が定年延長をめぐり政府解釈を変更したことに前後し、1981年の人事院答弁との整合性を図るためか、法務省や人事院による答弁の修正や撤回が相次いだ。
東京高検検事長の定年延長をめぐっては「法治国家の根幹が揺らぐ」「法の支配が根底から揺らぐ」などの批判が起きている。これはどういうことだろうか。
今回、押さえておきたいポイントは2つだ。
(1)そもそも「検察庁法」の成り立ちは?
(2)定年延長で「法的安定性」は維持されるのか?