ゲームの中で走ったり跳ねたりする「マリオ」のように、IoT(モノのインターネット)を使って日常生活にゲームの要素を取り入れたり、従来の遊び道具を進化させたりする動きが広がっている。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、スマホアプリと腕に巻くバンドを連動させて、客がマリオのようにコインを獲得できるエリアを開く。高性能センサーを内蔵した縄跳びも登場するなど、従来の遊び道具も最新技術の導入で進化している。
縄跳びで世界とスコア競う
USJを運営するユー・エス・ジェイ(大阪市此花区)は、任天堂のキャラクターをテーマにしたエリア『SUPER NINTENDO WORLD』を20年夏までに開く。同エリアではスマホのアプリと腕に巻くバンドを連動させて、マリオのゲームの中に登場するブロックを叩くと、コインを獲得できる。
そのほか他のゲストと協力して敵キャラクターと対決する「ボスバトル」に挑戦できる。ユー・エス・ジェイは新エリアについて「実際に自分の全身を使って、飛び、ブロックを叩き、コインやアイテムを集めるこれまでにない"アソビ体験"を届ける」と強調する。
従来から日本人に親しみのある縄跳びも、IoTで進化している。Gloture(東京都港区)は、内蔵する高性能センサーで縄跳びの回数や消費カロリーを計測し、世界中のユーザーとスコアを競える縄跳び「Smart Rope PURE(スマート・ロープ・ピュア)」(税抜7500円)を発売した。韓国社製の同製品は、トレーニング中の動きを解析して、ジャンプの回数を記録する。内蔵のセンサーが回転数を計測するため、手首に装着する一般的なセンサーに比べて飛んだ回数を正確に測定できるという。重さは一般的な縄跳びに比べてやや重い約250g。2時間の充電で、45時間連続動作できる。
同製品はスマホのアプリに身長や体重などを入力して、燃焼カロリーなどのデータを記録できる。そのほか、1日あたりの跳躍回数や、1分あたりの跳躍回数をユーザー同士で競えるモードもある。同社は「ゲーム感覚で心と身体をともに充実させてくれる製品」と胸を張る。
ゲーム制作のノウハウを「薬の飲み忘れ」に
東和薬品とバンダイナムコ研究所(東京都江東区)は、ゲーム制作のノウハウを活用した「服薬支援ツール」を2020年度をめどに開発し、効果測定を始める。高齢者らの薬の飲み忘れ防止や、薬を飲むことでモチベーション向上につながるようなツールを目指す。医療用医薬品メーカーとエンターテイメントを手掛ける企業が手を組むのは珍しいという。
飲み忘れなどで薬を適切に服用しなかった場合、十分な治療効果が得られなかったり、治療期間が延長してしまったりする恐れがあるという。そこで同ツールを活用すれば、残薬の金額は年間500億円にもなるとされる、飲み忘れてしまった薬(残薬)の削減も期待できる。