「鮮魚列車」から「伊勢志摩お魚図鑑」へ 近鉄名物列車の変わる活用戦略

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   関西の大手私鉄、近鉄の名物列車だった「鮮魚列車」が、2020年3月に半世紀あまりの運行を終了する。

   ただし、鮮魚輸送自体は車両を変えて継続する上、「観光列車」という意外な方策にも活路を見出して、独特な列車自体は続いていく。

  • 「伊勢志摩お魚図鑑」のイメージイラスト」(近鉄プレスリリースより)
    「伊勢志摩お魚図鑑」のイメージイラスト」(近鉄プレスリリースより)
  • 「伊勢志摩お魚図鑑」のイメージイラスト」(近鉄プレスリリースより)

一般列車に併結、ラッピングで海の幸アピールへ

   通称「鮮魚列車」は宇治山田(三重県伊勢市)~大阪上本町(大阪市)間を平日と土曜日に1日1往復運転されている。朝に宇治山田から大阪上本町に向かい、夕に宇治山田に戻るダイヤで、伊勢志摩の魚介類を大阪に運ぶ行商を乗せた列車で、魚介類のにおいを一般乗客から隔離するために専用の列車を仕立てていた。

   車両は近鉄の一般列車と違い、赤一色のボディで正面に白線を引いた塗装で、マニアにとっては目立つ存在でもある。1963年から車両を置き換えながら運転されてきた。

   近鉄はこの列車を行商客の減少と車両老朽化を理由に2020年3月14日のダイヤ変更を持って廃止すると発表したが、同時にラッピング車両「伊勢志摩お魚図鑑」の導入を発表した。これは2両編成の一般車両のうち1両をラッピングし、鮮魚運搬の専用車両とする。つまり、独立した列車ではなくなるが鮮魚を運ぶ行商のための車両は引き続き残り、一般列車に連結されて運行を続けることになる。列車のうち1両を行商用に貸し切るやり方は、京成電鉄でも2013年まで行っていた。

   ダイヤ変更後の20年3月16日以降、この「伊勢志摩お魚図鑑」は松阪(三重県松阪市)6時44分発の大阪上本町行き急行に連結される。これまでの鮮魚列車は一般客には無関係だったが、急行列車への併結運転となるので、一般客が目撃する機会も増えると思われる。車体には伊勢志摩の魚介類として伊勢海老・フグ・タイ・マンボウ・カツオ・イカなどが描かれる予定だ。「海」にまつわる観光列車といえば、関西の南海加太線にタイをモチーフにした「めでたいでんしゃ」が運行されており、近鉄でも伊勢志摩の自然を乗客にアピールできる効果が見込める。

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