悩む中で「障害のある子どもたちの後押し」に立ち返る
アピールした「障害ある子どもたちへの服のプレゼント」は実現できなかったが、「今は手段の違いだったと思っています」と、寺田さんは1年を振り返る。
「有言実行しないといけないんだろうかという悩みは、すごくありました。でも悩む中で、一番の目的である『障害のある子どもたちの後押し』に立ち返ったんです。大事なのは本質の目的だと気づいて、それを形にする方法が服のプレゼントなのか、YouTubeの活動なのか、手段の問題だと思ったんです。
障害者のリアルを伝えたり、病気と戦う男の子と企画をしたり、障害のある子どもたちとキャンプをしたり。本質の思いを形にする活動はできているかなと思っています。前澤さんもきっと笑ってくれるだろうなと思います」
お年玉に始まったこの1年の活動は「全てつながっていた」という寺田さん。YouTubeで結果が出てきたことで誘われた仕事もある。「去年の100万円がなければYouTuberとしての今の自分もなかったと思います。発信すること、声をあげることは大事なんだと実感しました。前澤さんのおかげで、この1年は人生が変わりました」。そして今後の活動をこう見据える。
「YouTuberとしては『今』スタートした感覚が強いです。現在2万8000人の方にチャンネル登録をいただいていますが、マグレで当たったと思っています。芸能人も続々と参入し、戦国時代と言われるYouTubeですが、自分たちには『マイノリティ』という武器がある。それをプロに負けないクオリティで発信できれば、多くの人に届くはず。金銭的な余裕ができて積極的になったし、クリエイティブ性も高まったと思います。よりメッセージ性のある動画もつくっています。
誰もできなかったテーマを、面白おかしく、エンターテインメントとして伝えていきたいんです。僕は僕のやり方で、マイノリティの出来事を伝え、マジョリティとの垣根を無くす架け橋になりたい。障害者が100人いれば100通りの生き方があります。それが伝わることが大事だと思うので、自由に発信できるYouTubeは僕に合っているかもしれません。
僕から車いすを取ってしまったら何も残りません。例えばWordやExcelも使えません。もし神様が現れて、障害を直せると言われても『直さないで』と言いますね。自分の経験が誰かの役に立ち、ご飯を食べさせてもらっている。語弊を恐れずにいえば、障害者で良かったなと思います」
寺田さんは取材の最後、スマートフォンの画面を見せながら「こうやってテロップの入れ方とかもこだわるようになったんですよ。編集体制も4人チームになったんです」と動画づくりの楽しみを語った。「これからの1年でどうなるか。数字が伸びてくれたらいいですけど...上手くいかなかったらまた考えます」。車いすYouTuberの創作意欲は尽きない。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)