「もうやりたいことに使っちゃえば?」
だが、これが後の悩みを生む。寺田さんは1年を振り返って20年1月4日に更新した「note」の記事で、「天使と悪魔が戦う1年間となってしまった」と表現している。
100万円でやりたいことは3つあった。第1希望はYouTube動画の制作費に充てること、第2希望はYouTubeと並行して取り組んでいた「全国車いすヒッチハイクの旅」の旅費に充てること、そして第3希望が障害者100人に服をプレゼントすること。第1・2希望が「個人的な想い」にすぎないかと懸念していたところ、第3希望の内容を閃いた。
「服をプレゼントしたい気持ちはウソではありませんが、自分の中でそれほど優先順位が高くないことでした。お年玉に当選して、実現に向けて動こうとなると、まず人手が足りませんでした。誰にどうプレゼントすればいいのかといったことも含め、どうすればいいか分からなくて困ってしまいました...」
YouTuberとして駆け出しだった寺田さんの暮らしは、自転車操業状態。日々のチャンネル更新と、47都道府県を行き来しながら出会った人に車いすを押してもらう「車いすヒッチハイクの旅」とで、時間も労力も余裕がなかった。服のプレゼントができないまま1か月以上が過ぎた。口座には100万円の大金――。「もうやりたいことに使っちゃえば?」。寺田さんの耳に「悪魔」がささやいた。それを「前澤さんに伝えたとおり実行しないと!」と「天使」が諫める。
悩んだ結果、寺田さんが最初に取った行動はというと、まさかの「リボ払いの完済」だった。40万円以上抱えていたという。独立したてで資金が底をついていたといい、noteではお年玉のそんな用途も赤裸々に明かしている。なかなか言いづらいことに思えるが、なぜ書いたのか。
「この100万円の使い道は、書くなら全部書かないといけないと思いました。中途半端にしてしまうと多くの方を裏切ってしまう。『服をプレゼントする』と言って、楽しみにしてくださった方がたくさんいました。自分に都合の悪いことを隠すような形で裏切るのはいけない。当時の自分の状況をできる限り鮮明に伝えないといけない。だから、リボ完済も書きました。書くのは妻から結構反対されましたが」