それ、本当に「炎上」?判定方法は作れるか ネット賛否を「可視化」してみる

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キズナアイ「炎上騒動」で脚光

   前原さんは、18年に公開したブログ「千田さんが『炎上している』と書いた時、キズナアイは『炎上』していたか?」で注目を集めた。

   ヤフーニュース個人で配信された記事「ノーベル賞のNHK解説に『キズナアイ』は適役なのか? ネットで炎上中【追記あり】」を受け、炎上の検証を試みている。

NHK特設サイトより
NHK特設サイトより

   前述の記事によれば、NHKが18年10月、ノーベル賞の特設サイトにバーチャルユーチューバー(VTuber)のキズナアイを起用し、ネット上で炎上した。

   弁護士の女性がツイッターで「(キズナアイのように)性的に強調された描写、女性の体をアイキャッチに使うこと」に異を唱えているとし、筆者も「このNHKのサイトで『キズナアイ』に割り振られた役割は、基本的に相槌である。それは、従来『女性』に与えられてきた役割である。ある意味で、性別役割分業を再生産していると言えるのだ」と別の問題点に言及した。

   そこで前原さんは、ウェブ上の情報を抽出する「ウェブスクレイピング」と、大量の文章を分析して気づきを得る「テキストマイニング」という手法を使い、炎上の実態を探った。

   まず、時系列に沿って「特設サイト公開後」「弁護士の問題提起後」「ヤフー記事配信後」の3段階に分け、それぞれの期間に「キズナアイ」を含むツイートを合計約9000件取得した。ツイッター社のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を使って集めた。

   次に、おおまかな言及内容を把握するため、フリーソフト「KH Coder」「mecab」などを使い、ツイートによく含まれていた「頻出語」と、単語間の関連性がわかる「共起ネットワーク」を図示した。

   最後に、取得したツイートから約3000件を無作為抽出し、目視で「批判」「同調」「擁護・反発」「話題無関係」「判別不能」など7項目に分類した。

   すると、(1)特設サイトの公開後、前述の弁護士がツイートするまでキズナアイ起用への批判はなかった(2)弁護士の投稿からヤフー記事の配信まで、批判は11件、弁護士への同調は10件、NHKへの擁護、弁護士への反発は320件――だったことがわかり、擁護・反発ツイートによって炎上に見えてしまったと結論づけた。

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