高級腕時計市場で苦戦
シチズン時計のライバルであるセイコーホールディングス(HD)の中村吉伸社長が20年1月、日本経済新聞のインタビューに対し、「(腕時計型のデジタル端末)スマートウォッチは、若年層に『腕時計をつける』という習慣を与えた。1本目としてスマートウォッチを買った消費者は将来的にグランドセイコーをつけてくれるだろう」と期待を示したことが、若年層の腕時計離れをはからずも証明していると言えよう。
こうした中で、セイコーHDが手がける富裕層向けの高付加価値な高級腕時計の世界販売が好調な一方、ブランド力でやや後塵を拝するシチズン時計が高級腕時計で苦戦しているのも事実。さらには、シチズン時計の腕時計の10万円以下の価格帯が売れなくなっていることも今回の業績予想の下方修正にもつながっている。
野村証券が19年11月15日付で配信したシチズン時計についてのリポートは「『高品質の時計を安価に大量生産』というビジネスモデルが成りたたなくなっている状況下で、抜本的なビジネスモデルの見直しが必要ではないだろうか」と指摘した。そんなことは経営陣は百も承知だろう。株式市場はシチズン時計の「次の一手」を注視している。