2月22日は猫の日。国内のペット関連市場は猫ブームなどを背景に約1.5兆円の市場規模で毎年拡大している。そうした環境下、ペットを家族に迎え入れるための新たな手段として注目されているのが「マッチングサイト」だ。
マッチングサイトは婚活や恋活など人間同士が知り合う場としてだけでなく、ペットと人の関係も結ぶツールとして普及が期待されている。
保護団体から成犬を引き取って...
神奈川県在住の前田紗代さん(41)は、シロップ(東京都品川区)が運営するサイト「OMUSUBI」で2018年にラブラドールレトリバーのナナちゃん(当時11歳)を引き取った。「犬を育てた経験がなかったので、子犬を育てる自信がなかった」(前田さん)ことから、成犬の引き取りを決めたそうだ。
ナナちゃんは以前の飼い主が入院することになり、5年ほど福島県の動物保護団体が保護していたという。サイトには写真しか掲載されていなかったが、前田さんは「保護団体のSNSで動画も確認でき、安心して引き取った」と振り返る。
一方で、周囲からは現在13歳と高齢のナナちゃんを引き取ったことに驚かれたこともある。だが、前田さんは「少ない生涯を楽しく送ってもらいたい。(新たに犬を飼う時には)また保護犬を引き取りたい」と話す。
OMUSUBIは審査を通過した保護団体のみが、里親を募集できる。お迎え時に里親希望者から保護団体への譲渡費用は発生するが、月額利用料や「成婚料」はかからない。
同サイトではユーザーのライフスタイルや好きなタイプなどの嗜好データと、犬や猫のプロフィールから相性度を測る機能「相性度診断」を同様のサイトでは初めて採用したとしている。
将来的な殺処分ゼロを目指す
将来的な「殺処分ゼロ」やペット市場の需給関係是正を目指すマッチングサイトもある。ペット用品通販サイト「モコペット」を運営するパワープランニング(大阪市中央区)は、生まれる前にペットを予約できるサイト「モコペットブリーダー」を20年3月に立ち上げる。まずは犬のマッチングサービスを開始し、20年度中に猫のマッチングも始める。
モコペットブリーダーはユーザーが事前に登録した、購入したいペットの種類・性別・毛色などの情報をもとに、正しい方法で繁殖しているブリーダーとマッチングする。サイトの利用料は無料で、ブリーダーは成果報酬として1件1万円(税別)の手数料を受け取る仕組み。20年は500件の成約を目指す。
これまで大手のブリーダー仲介サイトでも、購入希望者の希望の犬の容姿をブリーダーが確認し、今後の繁殖予定を通知するなど、条件に近い犬をあてがう仕組みはあった。だが、あくまで購入希望者の希望の容姿に重点が置かれていたという。
北欧流で「衝動買い」を防ぐ
同社によるとスイスや北欧諸国では犬や猫を飼う際、基本的に生まれる前に予約(プレオーダー)をするのが主流だという。そのためブリーダーは、希望者の予約数をもとに繁殖させる頭数を調整する。申し込みがあってはじめて生まれる仕組みのため、引き取り手のない子犬・子猫の増えすぎ防止につながる。また飼い始めるまでに時間がかかることで、飼い主の衝動買い防止などの効果もあるという。
同社は「こうした(北欧諸国のような)飼い方を日本でも主流にできれば、殺処分問題の根本解決に繋がるのでは」と力を込める。
ペットフード協会(東京都千代田区)がまとめた2019年の「全国犬猫飼育実態調査」によると、ペット入手時の情報源として「里親探しのマッチングサイト」と回答したのは犬の飼い主が4.8%、猫の飼い主が13.9%と低い。ペットを探す選択肢として、マッチングイトの認知度向上が今後の課題となりそうだ。