ITジャーナリスト「『ツイッター政局』に利用されてしまった」
今回の誤情報が大きく拡散される事態になった背景について、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は取材に対し、「政府を攻撃する格好の燃料になってしまった」と指摘する。
「新型コロナウイルス感染者が国内で増加し、政府の対応に否定的な声があがっているのに加え、海外メディアからも批判的な論調があがっていますね。さらに桜を見る会の問題、国会ヤジなども重なり、安倍晋三首相は傲慢だというイメージが強くなっています。
その中で、『検査は自己負担8万円』という情報が降って湧いた。消費増税分の税収は社会保障費に充てると言っているのに、新型肺炎対策は国民に負担を押し付けるのか、と受け取られてしまい、政府や安倍氏に不満を持っていた人たちが一気に拡散させたのではないでしょうか」
発端となった投稿者の女性については「新型肺炎に不安を抱く、ごくごく一般的な人だと思います。善意で情報共有した方がいいと考えたが、投稿者の意図に反して『ツイッター政局』に利用されてしまったと思います」とする。自ら誤情報と気付いて打ち消した行動には、「常識的な方だと思います。フェイクニュースとして拡散されるのはどうしても防ぎたいと素直に思ったのでしょう」との見方を示した。
新型コロナウイルスに関しては解明されていない部分が多く、誤情報も含めてさまざまな情報がネットで飛び交っているのが現状だ。井上氏は「これだけ感染が拡大している以上、必要な情報は報じられるし、関係機関から発信されます。情報リテラシーそのものが問われます。不用意に他人に押し付けるとか騒ぎ立てるのではなく、自分が信頼できる専門家や機関が発信しているかどうかなどを冷静に見極めて、情報に接するべきだと思います」と話している。
(J-CASTニュース編集部 青木正典)