「2時間以上経ってもホテルにつきませんでした」
タイの世界王者のほとんどがムエタイを経験しており、本質的にボクサーとしての実力は高い。だが、日本国内で行われる世界戦でタイの世界王者、挑戦者が負けるケースは多々あるとおり、日本人ボクサーがタイで勝てないのはその他の要因もあるのではないか。金平会長はタイで勝てない要因のひとつに敵地ならではの「環境」を指摘し、自らが経験したエピソードを次のように語った。
「ユーリの世界戦の時の話ですが、空港に相手陣営のスタッフが迎えに来てくれて、ホテルまで送ってくれました。タイの交通事情は把握していましたので多少の渋滞は覚悟していましたが、2時間以上経ってもホテルにつきませんでした。どうやら同じコースを巡回していたようで、うちのスタッフがそれを指摘すると15分ほどでホテルに到着しました。意図的なものか分かりませんが、ユーリはかなり疲労していました」
ようやくホテルに到着したものの、その後もトラブルは続いたという。ユーリとスタッフが乗っていたエレベーターが突然止まり、1時間近くエレベーターの中に閉じ込められた。故障の理由は分からずじまいだったという。リングの上でもトラブルに見舞われた。7回にユーリがダウンを奪いムアンチャイが絶体絶命のピンチに。するとなぜが30秒以上も早くゴングが鳴り、ムアンチャイはゴングに救われた。