松坂大輔の「悲劇」連想
「ファンの方が甲斐野投手に差し入れを渡したら、他のファンの方が甲斐野投手に色紙を差し出してサインをねだっていました」
撮影した20代の女性はJ-CASTニュースの取材に、当時の状況をこう説明する。
動画の撮影前、甲斐野投手は「肘が伸びない、ペンのキャップも外せないから、(きちんと)書けないっすよ」と話したという。しかし、"サイン会"は強行された。
女性は「私自身、同じファンとしてすごく残念で悲しいです。自分さえサインをもらえれば良い、という方がいるせいで、下手をしたら怪我の回復を邪魔するようなことになってしまいます」と懸念し、「たしかに間近でサインを頂いたり、写真を撮ってもらうことももちろんですが、何よりも選手が元気にプレイして活躍することが最高で最大のファンサービスではないのかな、と私は思います」と話す。
動画がツイッターで投稿されると、約1万リツイート(拡散)され、ファンの姿勢を問う声が相次いだ。19年2月に当時中日だった松坂大輔投手(39、現西武)が、ファンと接触時に右腕を引っ張られて負傷した"悲劇"を思い出す人も少なくなかった。
球団はどのように受け止めているか。福岡ソフトバンクホークス広報室は20日、取材に対し、「本件、球団も本人も騒ぎになっていることは承知しております」と書面で回答した。
ただ、ファンサービスは体調を最優先で行うため、「ファンの皆様がご心配いただいているほど、深刻なものではありません」とし、「甲斐野投手としても、練習後多少余裕があったためサインに応じたが、肘が張っておりうまくかけず照れ隠しも含めて冗談半分で交わしたやり取りがこのように大きく取り上げられ、(球団、本人の双方とも)かなり戸惑っております」と続ける。