岩田教授が訴えた「日本版CDC」の必要性 専門家が「科学的意思決定」できる組織を

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   クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」内部の様子を伝える動画を公開した岩田健太郎・神戸大教授が2020年2月20日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見を開いた。動画は20日未明に削除されている。その経緯を説明したほか、専門家が意思決定できる米国の疾病対策センター(CDC)のような組織の必要性を訴えた。

   岩田氏自身も新型コロナウイルスに感染している可能性があるとして、記者会見にはスカイプで参加。記者はスクリーンを見ながら質問した。

  • スカイプ経由で記者会見する岩田健太郎・神戸大教授。記者はモニターを見ながら質問した
    スカイプ経由で記者会見する岩田健太郎・神戸大教授。記者はモニターを見ながら質問した
  • スカイプ経由で記者会見する岩田健太郎・神戸大教授。記者はモニターを見ながら質問した
    スカイプ経由で記者会見する岩田健太郎・神戸大教授。記者はモニターを見ながら質問した
  • スカイプ経由で記者会見する岩田健太郎・神戸大教授。記者はモニターを見ながら質問した
  • スカイプ経由で記者会見する岩田健太郎・神戸大教授。記者はモニターを見ながら質問した

あんな船内になった背景は「CDCがないこと(lack of CDC)」

   岩田氏は動画の中で、ウイルスがあるかもしれない「レッドゾーン」とウイルスがない「グリーンゾーン」を区別することが必要だとした上で、船内では「グリーンもレッドもグチャグチャになっていて、どこが危なくてどこが危なくないのか全く区別かつかない」だと訴えていた。

   岩田氏は動画を削除した理由について、(1)「然るべき筋」から、ゾーンの区別が改善されたという情報を得た(2)国立感染研究所が船内の情報開示を進めた、などとして

「ユーチューブの投稿は役割を終えた。もう意見を拡散し、この問題を訴える必要がなくなった」

   などと説明。だが、船員による二次感染の可能性を念頭に「リスクは減ったが、存在はしている」として、下船した人についても、他者との接触がない状態での観察を、さらに14日間続けるべきだとした。

   岩田氏は、動画で訴えたような状況が生まれた背景について、「CDCがないこと(lack of CDC)」を挙げ、

「原理原則がないからだ。感染予防には原理原則が必要で、その原理原則が具体的な手順につながる。その逆はない」
「原理原則は官僚には決して作れない。感染症予防のトレーニングを受けていないからだ。経験もシステムもない。CDCには、そのすべてがある」

などと説明した。

   CDCは米保健福祉省の下部組織で、健康に関する意思決定に役立つ、信頼できる情報の提供と、健康の増進が主な目的だ。感染症が発生すると調査に駆け付け、対策を講じる上で重要な役割を果たしている。映画「アウトブレイク」(1995年)など、未知の感染症と戦う政府機関としてハリウッド映画に登場することも多い。

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