1人でも感染が出たら生産停止
中国では国内企業より非常に大事にされている外資系企業も、今回の新型コロナ肺炎の感染者拡大ではいろいろな困難に直面している。
日本は中国にワーキングビザを申請する場合、あらたに「免責書」を必要となる。中国で新型コロナ肺炎に罹患した場合、すべての責任は自分自身にあり、中国政府や企業には責任を問わないという内容ではあるが、企業として会社員の代わりに査証を申請する場合、この免責書に署名してもらうことは非常に難しい。
中国国内での物流も道路の制限などによって普段より時間がかかり、仕事を再開してもスムーズに生産はできない。また、マスクなどが非常に不足している中、工場要員が一人でも新型肺炎にかかったら即生産を停止するようにと、行政に求められている。日系企業の場合、数千人、さらに数万人の生産要員を抱えている工場が多く、無理難題であろう。
大工場の場合、工場要員全員に宿舎を与えることはない。工場近辺でアパートを借りて通勤する人が多い。田舎から大都会の工場に出て、14日間地元にいなかっただけでアパートから追い出されるケースも出ている。これは企業だけでは、とても解決できることではない。
北京のある日系企業の総代表は、
「中国国際貿易促進委員会に陳情し、さらに日本商会などをも通じて中国政府に何らかの支援を求めている」
という。
中国では、ほぼ2月24日から湖北省以外のところでは普通の仕事を再開するが、行政が規制を緩和し、さらに経済を正常の軌道に乗せるためにどんな政策を取るか、経済界は固唾をのんで見守っている。
(在北京ジャーナリスト 陳言)