安倍晋三首相の「桜を見る会」前夜祭に関する答弁をめぐり、発言翌日の衆院予算委は主要野党が一時欠席する混乱があった。
首相が従来から答弁している、後援会事務所はホテル側から明細書は受け取っていない、という内容に対し、野党議員がホテルから「(主催者側に見積書や請求明細書を発行しないケースは)ございません」などとする回答を得たとして、野党側は追及を強める姿勢を示している。
「営業の秘密に関わるため」文言の有無は?
2020年2月18日の衆院予算委は、予定より約1時間遅れで、立憲民主党など主要野党が欠席する中で始まった。前日予算委で安倍首相が、ホテル側から得た回答だとして答弁した内容について、書面で提出しなければ審議に応じないと主張していた。
問題視された17日答弁は、立憲の辻元清美議員が、2013年以降3回、前夜祭会場となったANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)から得た回答が、首相の従来答弁と食い違いがあると追及したことに関係している。首相は「確認する」として、のちに別議員の質問の際に、安倍事務所がANAホテルに確認したとする内容を複数回にわたり答えた。首相は、
「辻元議員には、あくまで一般論でお答えしたものであり、個別の案件については、営業の秘密に関わるため回答には含まれていない、とのことでありました」
と答弁した。翌18日に立憲などが求めたのは、この回答内容を書面で提出することだった。18日午後に入って動きがあり、理事会で安倍事務所への確認内容が読み上げられ、立憲などは予算委へ出席した。質問に立った今井雅人議員(立憲などの統一会派)は、この読み上げ内容を取り上げた。安倍事務所秘書に確認した内容として、安倍事務所がANAホテルに確認したところ、
「辻元議員には、あくまで一般論でお答えしたものであり、個別の案件については、回答には含まれていない」
だったと指摘した。以降、菅義偉官房長官との間で、前日の安倍首相答弁には「営業の秘密に関わるため」との文言があるが、今回の確認の内容ではその文言がない点をめぐり、「全体として同じようなこと」(菅長官)かそうではないのかと議論を交わした。
「主催者に対して、見積書や請求明細書を発行いたします」
安倍首相の17日答弁については、17日夜時点で、メディア(ウェブ版)がANAホテルに取材した結果を報じていた。「ANAホテル『営業の秘密と言った事実はない』 安倍首相答弁を否定」(毎日新聞)、「ANAホテル『申し上げた事実はない』 首相答弁を否定」(朝日新聞)で、翌18日付朝刊では両紙の他、東京新聞もホテルへのほぼ同様の取材結果を伝えていた。
発端となった辻元氏が明らかにしたANAホテルからの回答内容は、
「(質問)7年間に見積書や請求明細書を主催者側に発行しないケースがあったでしょうか。(回答)ございません。主催者に対して、見積書や請求明細書を発行いたします」
など。他にも、領収書や代金受取方法などに関して、従来の首相答弁と矛盾しかねない内容となっている。辻元氏の質疑内容については、衆院インターネット審議中継サイトで確認できる他、辻元氏自身が「提言型ニュースサイト」BLOGOSに、予算委でのやりとりの文字起こしなどを記事(17日夜)として掲載している。
立憲などは19日の衆院予算委でも、安倍首相答弁をめぐり追及する構えだ。