公開中のホラー映画『バイバイ、ヴァンプ!』の製作委員会は2020年2月17日までに、「一部の方に誤解や混乱を招いた」とする謝罪文を発表した。
同作をめぐっては、同性愛者への差別的な表現が含まれているとして、インターネット上で抗議の署名活動が起こっていた。
「ただ性的マイノリティの方を傷付けるだけの映画」
「青春ヴァンパイア・ホラー」をうたう同作は、2月14日に公開。監督は、ドラマ『特命係長只野仁』『結婚できない男』などを手がけた植田尚氏だ。
吸血鬼に噛まれると「同性愛者」になってしまうという設定で、「愛・自由」のために主人公たちが戦うストーリー。予告編では、噛まれた後とみられる同性の高校生同士が、人目も気にせず教室で激しいスキンシップをとるシーンもある。
映画レビューの投稿サイトをみると、
「ご贔屓の俳優さん目当で行きましたが吐き気を覚える展開に初めて映画館で席を立ちました。この時代に、一体どんな価値観で作られたのでしょう」
「映画観ました。自分はゲイでもバイ(セクシュアル)でもなく性的マイノリティの当事者ではありません。ただ内容があまりにもクソすぎる。つまらないというか、ただ性的マイノリティの方を傷付けるだけの映画」
など、鑑賞者からの酷評が目立つ。署名サイト「change.org」では、
「同性愛を悪のように仕立て上げ、敵視し差別対象とする表現が見受けられます。また、同性愛に対しての偏見や憎悪を含む表現、演出が使用されており、同性愛者やトランスジェンダーなど多様な性への配慮が欠けており、視聴者に間違った印象を与えかねません」
として、再編集などを求める抗議が起きた。17日昼時点で約6200筆集まっている。
「同性愛を差別する作品ではありません」
製作委員会は17日までに、「バイバイ、ヴァンプ!をご覧頂いたく皆さまへ」(以下、原文ママ)と題した声明を公式サイトに掲載した。
「この映画には一部、同性愛の方々に対し不快な思いを抱かせる表現が含まれているかもしれません」としつつ、「同性愛を差別する作品ではありません」と差別的な意図は否定。
続けて、「愛とは自由であり、人それぞれの愛が尊重されるものであるというテーマのもと、製作されました。それは綺麗事だけではなく、愛を貫くためには乗り越えなくてはいけない壁もあります。しかし、それを乗り越えた時に人はもっと強くなり、そして自分らしく、異性も同性も隔てることのない『人としての愛』を見つけることが出来ると信じています」と作品に込めた思いを述べ、
「この作品は、そのテーマをエンターテインメントな作風で描いているため、一部の方に誤解や混乱を招いた事をお詫び申し上げます。何どぞご理解頂けますことをお願い申し上げます」
と理解を求めた。