インターネットで墓参
墓標の建立もままならないのに、と笑われそうだが、提案をもう一つ。それはインターネットを活用し、埋葬地がどうなっているか、居ながらにして見ることができるようにはできないか、ということだ。
肉親がどこに葬られたかを知りながら、墓参の夢を果たすことができた遺族は、正確な統計があるわけではないが、遺族全体の1割にも満たないのではないか、と考えられる。
厚労省の慰霊巡拝の募集人員が毎年60人ほどに限られているということもあるが、大黒柱を奪われた遺族は厳しい生活を強いられてきて、慰霊巡拝の費用もままならないという人は少なくない。そして、大方の高齢遺族にとって、シベリアは遥かに遠い世界なのだ。
埋葬地の写真をはじめ、慰霊巡拝に参加した人のレポート、さらには収容所跡や抑留者が手掛けた建造物の写真など、埋葬地に関連する情報を一か所に集め、「埋葬地名」を打ち込むだけで、現地の様子が分かるようにすることは、今の技術では難しいことではないだろう。
高齢で墓参が無理な遺族でも、周囲の人に頼んでパソコンを操作してもらえば、いつでも異国の埋葬地を訪れることができるようにする。それが、私の夢だ。