新型コロナウイルスに関連して、WHOのフィリピン支部のツイッターが、こんな素朴な疑問に正面から答えている。その質問は「アルコール飲料を飲むこと(drinking alcohol)は、新型コロナウイルスを防ぎますか(prevent)?」。
その回答は、勿論「No(以下は後に詳述)」。当然すぎるから、ということなのか、WHO本体サイトの「Q&A」や「デマ撲滅(Myth busters)」でも、厚生労働省サイトの「Q&A」でも見当たらない質問と回答だ(2020年2月14日昼現在、J-CASTニュース編集部調べ)。
ツイッターには、厚労省などが新型コロナ対策の一つにアルコール消毒を挙げていることに触れつつ、冗談めかして「明日は飲み会!アルコール消毒だよ」といったつぶやきも少なくない。ただ、中には冗談なのかどうか微妙な書きぶりの人も。念のため、冒頭で紹介したツイートや添付資料(WHO西太平洋事務局作成)を紹介する。
「アルコール飲料は常に適度に消費されるべき」
WHOフィリピン支部のツイッター(公式確認マークあり)は2月8日、
「(原文英語、以下編集部訳)Q:アルコール飲料を飲むこと(drinking alcohol)は、新型コロナウイルスを防ぎますか(prevent)? A:いいえ、アルコール飲料を飲むことは、2019-nCoV(新型コロナ、数日後にCOVID-19と命名)の感染からあなたを守りません。アルコール飲料は常に適度に消費されるべきで、アルコール飲料を飲まない人々は、2019-nCoV感染を防ごうと飲み始めるべきではありません」
と情報発信した。添付された図には、アルコール飲料らしきビン2本とグラス2個の絵が描かれ、ツイート内容とほぼ同じ文が掲載されている。
この図の作成者表記(左下)部分には、「WHO西太平洋事務局」(原文英語)と表記されている。同事務局はフィリピンにあり、フィリピン支部の上部組織だ。公式ツイッターも運用しており、2月8日前後のツイートを中心に確認したが、フィリピン支部ツイートと同じ内容は見当たらなかった。ツイッター検索した範囲でも、他のWHO組織(本体や地域事務局など含む)によるツイートは確認できなかった。
WHO本体の新型コロナ特設サイト(2月14日昼過ぎ閲覧)には、「Q&A」や「デマ撲滅(Myth busters)」欄で同種の内容は見つからなかった。「デマ(作り話)撲滅」欄では、図付きで14種の間違った情報を正しているが、「アルコール飲料を飲むこと」に関する指摘はない。また、厚労省サイトの「Q&A」(一般の方向け、2月13日版)にもなかった。
厚労省「石けんやアルコール消毒液などによる手洗いを行ってください」
新型コロナに関連しては、1月段階から2月に入ってからも、「お酒を飲んでアルコール消毒」といった趣旨の冗談めかしたツイート(日本語)が見受けられる。「冗談」と明記する人もいる一方、どこまで冗談か分からない声も...。
「明日は飲み会があります!(略)飲むよー。新型コロナウイルスもアルコール消毒だよ」
「新型コロナもアルコール消毒有効なのか。飲んで消毒ってのも有効と信じて飲む」
といった調子だ。中には、アルコール度数が一定程度高い必要があるからと、90度を超える有名なウォッカの銘柄を挙げて「おすすめ」する人もいた。
もっとも、「お酒を飲んでアルコール消毒」の言い回しは、今回の新型コロナ問題に限らず以前から見受けられるもので、冗談だと分かって対応するツイッター利用者がほとんどだ。「デマだ」などと「マジ切れ」して反発する向きは、確認した範囲では見当たらなかった。
アルコール消毒をめぐっては、厚労省ツイッターが2月6日、
「【ご注意ください!】#新型コロナウイルス 予防にアルコール消毒は効果がないという情報が広がっていますが、これは誤った情報です。厚生労働省では、咳エチケットや手洗い、うがいなどと並んで、『アルコール消毒』を行っていただくよう、国民の皆さまにお願いしています」
と発信。また、厚労省サイトの新型コロナ「Q&A」(一般の方向け、2月13日版)では、
「まずは、石けんやアルコール消毒液などによる手洗いを行ってください」
としており、「アルコール消毒」はあくまで手洗いや手指消毒のためのもの、としている。