マック「ごはんバーガー」投入でどうなる モス「ライスバーガー」への影響

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   日本マクドナルドは2020年2月5日、全国のマクドナルドの店舗で「ごはんバーガー」の販売を始めた。具材を挟む「バンズ」を通常のパンではなく、炊き上げてしょうゆ風味に仕立てた国産米を使用したもので、ツイッターには「美味かった。あれは罪深い」「普通のバーガー食った方がうめぇぞ」といったさまざまな感想が投稿されている。

   アメリカを象徴するマクドナルドがごはんを使うのは意外性があるように感じるが、実は日本のマクドナルドの弱点を補うため、周到に練られたマーケティングの「解」だった。

  • マックに期間限定で「ごはんバーガー」が登場(画像は日本マクドナルド公式サイトより)
    マックに期間限定で「ごはんバーガー」が登場(画像は日本マクドナルド公式サイトより)
  • マックに期間限定で「ごはんバーガー」が登場(画像は日本マクドナルド公式サイトより)

「弱点」の時間帯

   販売しているのは17時以降の「夜マック」の時間帯で、5月中旬までの期間限定だが、好評ならば定番化も検討するという。商品は「ごはんてりやき」(390円、税込み、以下同)、「ごはんベーコンレタス」(410円)、「ごはんチキンフィレオ」(410円)の3種類。いずれもパンで挟む通常のハンバーガーは人気メニューだ。サイドメニューとドリンクを一緒にしたバリューセット(690~710円)も販売している。

   飲食店の売り上げを単純に表現すると、<売り上げ=客数×客単価>となる。つまり、売り上げを増やしたいなら、客数を増やすか、客単価を上げるか、その両方をやるか、しかない。マクドナルドの場合、日本でハンバーガーはランチの印象が強く、正午前後の客数は多い。その他の時間帯も、朝はマフィンで目玉焼きやハムなどを挟んだ「朝マック」を提供したり、スイーツメニューを充実させて午後のカフェタイムをてこ入れしたりして客数を確保してきた。

   弱点だったのは夜間だ。日本で「夕食にハンバーガー」は幅広い世代に受け入れられているとは言いがたい。そこでマクドナルドは2018年から17時以降の時間帯を「夜マック」と名付け、パンで挟んだ肉などの「パティ」の枚数を100円追加すれば2倍にするオプションを開始。がっつり食べたい若い世代の支持を得て、一時は沈んでいた業績をV字回復させる原動力となった。枚数を増やすだけなので店舗オペレーションが複雑になるわけではなく、客数と客単価の両方を増やすことに成功したのだ。

導き出された答えは...

   だた、これでは基本的にメニューそのものは変わらないので、夜に新たな客層を開拓するまでは至らなかった模様だ。昼に比べると夜の客数はまだまだ少ないはず。そこで導き出された答えが、「ごはんバーガー」だったというわけだ。夕食に米を食べたい日本人はまだまだ多いはずで、これまで夕食の選択肢にマクドナルドを含めていなかった人に対して訴求力がある。客単価で考えても、昼や朝よりも高めだ。オペレーションの面では、工場で作って冷凍した「ごはんバーガー」のバンズを店舗で蒸して挟むようにしており、店舗の調理が複雑にならないよう工夫してあるという。

   どうしても気になるのは、1987年から「ライスバーガー」を販売しているモスバーガーの反応だ。モスの具材は天ぷらや焼き肉を採用しており、マクドナルドよりも和風だ。モスフードサービスの広報担当者は、新聞社の取材に「ライスバーガーに注目が集まることは歓迎している。広く親しんでもらう良い機会だと感じている」と話している。マクドナルドのお手並み拝見、といったところか。

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