日本経済への打撃も
世界経済への影響は、2003年よりはるかに大きい。2003年では、世界経済への影響は0.1%にとどまった。その当時、名目GDPの中国シェアは4.3%(2003年)だったが、今や15.7%(2018年)となっており、影響力が4倍程度だ。IMF(国際通貨基金)では、2020年世界経済見通し3.3%としているが、少なくとも0.4%以上引き下げて、2019年2.9%より低い水準まで見直すかもしれない。
肝心の日本経済はどうか。来週17日には、2019年10-12月期GDP速報(1次速報)が公表される。これは、新型肺炎の影響はまったくないが、10月からの消費増税のために、年率で▲4%程度と見込まれている。2020年1-3月期GDP速報は、5月中旬に発表されるが、消費増税で落ち込んだ後に追い打ちで、新型肺炎の悪影響がでてくる。観光面等でも年率▲0.2%程度の落ち込みが加わり、さらにサプライチェーンの切断の影響が加わると、現段階では読みにくいが、日本経済はかなりの打撃になるだろう。
今国会の会期は6月17日までなので、当然補正予算の議論もでてくるだろう。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「韓国、ウソの代償」(扶桑社)、「外交戦」(あさ出版)など。