比嘉大吾、1年10カ月ぶりにリング復帰 スーパーバンタム級で「ネリ戦」望む声も

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   ボクシングの元WBC世界フライ級王者・比嘉大吾(24)=白井・具志堅スポーツ=が2020年2月13日、東京・後楽園ホールで約1年10カ月ぶりの復帰戦に臨む。スーパーバンタム級契約(119ポンド=53.9キロ)8回戦でジェイソン・ブエナオブラ(フィリピン)と対戦する。今後、バンタム級、スーパーバンタム級の2階級を視野に入れ世界王者復帰を目指す比嘉は、世界のバンタム級戦線にどう絡んでくるのか。注目が集まる。

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処分明けでいきなりWBCバンタム級7位

   比嘉は2018年4月にWBC世界フライ級王座の3度目の防衛戦で体重超過の失態を犯し、王座をはく奪された。日本人の世界王者として初めて計量失格となった比嘉に対して日本ボクシングコミッション(JBC)はプロライセンスの無期限停止処分を科し、復帰する際には1階級以上の転級を義務付けた。JBCは昨年10月に比嘉の処分を解除したことを発表した。

   今回、比嘉の契約体重119ポンド(53.9キロ)は、バンタム級リミットの118ポンド(53.5キロ)を1ポンド(約450グラム)上回るもので、フライ級のリミット(50.8キロ)を3.1キロ上回る。一昨年4月の防衛戦ではフライ級リミットを900グラムオーバーし、再計量を断念。当初から比嘉の減量苦は知られており、フライ級では「限界」との声が上がっていた。今回の再起戦は階級を一気に3階級上げてスーパーバンタム級契約体重で出直す。

   プロキャリアは15勝(15KO)1敗と、勝利した試合は全てKOをマークしている。唯一の黒星は体重超過を犯した一戦で9回TKO負けを喫した際のもの。フライ級の世界王者として2度のKO防衛を果たしているものの、バンタム級、スーパーバンタム級での実績は皆無。それでもWBCは比嘉の過去の実績を評価し、処分が明けた昨年11月の世界ランキングで比嘉をバンタム級7位とした。

フライ級→スーパーバンタム級はパッキャオと同じ路線

   減量苦のボクサーが階級を上げるケースはボクシング界では「普通」の出来事だが、比嘉のように一気に3階級を上げて再スタートを切るケースはそう多くはない。過去を振り返ると、世界6階級制覇のレジェンド、マニー・パッキャオ(フィリピン)が比嘉と同様の再起ロードをたどっている。1999年9月、WBCフライ級防衛戦で体重超過を犯したパッキャオは、3か月後にスーパーバンタム級で復帰。2001年6月にはIBFのスーパーバンタム級の王座を獲得している。

   比嘉の今後の階級に関しては、復帰戦の内容次第といったところだろうが、世界ランク入りしているバンタム級とスーパーバンタム級の2階級を視野に入れて動くとみられる。WBC以外の団体で世界ランク入りするためには、世界ランカーとの対戦で勝利、もしくは地域タイトルなどを獲得する必要があり、早期の王座返り咲きを狙うのであればWBC王座が現実的となる。

   そこでWBCのバンタム級、スーパーバンタム級の情勢をみてみると、バンタム級は王者ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)と同級1位ノニト・ドネア(フィリピン)との指名試合が決まっており、今春の米国開催が見込まれる。このWBC王座にからんでくるのがWBA、IBF王者・井上尚弥(26)=大橋=だ。井上は4月25日にWBO王者ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)戦を控えており、その次に関してはIBFの指名試合を考慮しながらWBC王座の統一戦も視野に入れている。

海外メディアはネリのタイトル戦出場を示唆

   一方、スーパーバンタム級は34戦全勝のレイ・バルガス(メキシコ)が王座に君臨している。バルガスは昨年7月に暫定王者・亀田和毅(28)を判定で下し王座統一に成功。この試合以降、リングから遠ざかっているバルガスのV6戦の相手にルイス・ネリ(メキシコ)が浮上している。スーパーバンタム級に上げたネリは3月28日にWBC同級12位アーロン・アラメダ(メキシコ)との対戦を予定しており、この一戦はWBC同級挑戦者決定戦と位置付けられている。

   現状、井上のもとには多くのボクサーが「挑戦者」として名乗りを上げており、ここに比嘉が割り込むのは厳しいだろう。WBC王者ウバーリ、ドネアも井上戦を熱望しており、WBCバンタム級王座の行方は、井上陣営の動向によって大きく左右されそうだ。ただ、比嘉は現在バンタム級7位にランクインしており、バンタム級の王座挑戦の権利を有していることから時期はどうあれタイトル戦のチャンスは残されている。

   また、正式にスーパーバンタム級に転向するのであれば、ネリとの対戦が現実味を帯びてくる。海外メディアでは、ネリが復帰戦で勝利してタイトル戦に出場する可能性が高く、スーパーバンタム級で世界2階級制覇すると予想するものも。ネット上では、「比嘉VSネリ戦」を望む声もみられ、比嘉の復帰戦を前にボクシングファンは盛り上がりを見せている。

   2月12日に行われた前日計量では、契約体重を100グラム下回る53.8キロでクリアした比嘉。減量苦から解放され、1年10カ月ぶりのリングでどのようなパフォーマンスをみせるのか。軽量級屈指の強打を誇る元世界王者が、熾烈を極めるバンタム級戦線に名乗りを上げる。

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