テスラ株価高騰はひと時の夢?それとも... 「本物」になれるか否かの分水嶺

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鬼門の「量産化」クリアが後押し

   だが、こうして懸念材料だったマスク氏の「個性」が抑制されると、テスラこそ自動車業界が迎えているCASE<Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared(シェアリング)、Electric(電気自動車)の頭文字>の開発競争で最先端を走っている実態が浮かび上がる。

   初期にはスポーツカータイプの「ロードスター」がマニアの支持を得たが、その後はセダンタイプの「モデルS」、クロスオーバーSUVタイプの「モデルX」を発売し、徐々にEV専業メーカーとしての地位を築いた。住宅用太陽光発電を組み合わせたEV電力システムや、「オートパイロット」と呼ぶ先進運転支援システムも、先鋭的なテクノロジーだ。オートパイロットは自動運転を一部可能にして、しかもソフトウエアがアップデートされて、機能が追加される仕組みだ。

   今回の株価急伸の直接の引き金となったのは、2019年7~9月期の純損益が1億4300万ドルの黒字になったとの同年10月の発表だ。市場は赤字を予想していただけにサプライズとなった。

   併せてテスラは、中国・上海で建設していたEV工場で試作車の生産を始めたことも発表した。鬼門だった量産化も上海では順調に進んでいる模様だ。中国の自動車販売台数は米国を超えて世界最大となり、政府はEV普及を推進する政策を進めている。テスラが上海で生産する主力小型車「モデル3」が中国市場を席巻する期待を株式市場が織り込んだといえる。さすがに今回の高騰には警戒する向きも強いが、このまま「本物」に化けられるか――市場の関心は高まっている。

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