スマートフォンで遊ぶゲームソフトやゲームセンター向け機器、フィットネスジムなどを多角的に展開する総合アミューズメントグループ、コナミホールディングス(HD)の株価が2020年1月31日に急落し、一時前日終値比9.0%(405円)安の4115円まで下げ、18年10月以来、1年3カ月ぶりの安値をつけた。前日の取引終了後に20年3月期の業績予想を下方修正したことで、売りが集まった。その後はやや持ち直している。
下方修正の内容では、連結純利益は従来予想より90億円減額し210億円とし、前期実績比38.6%減の大幅減益を見込む。売上高は従来予想より65億円少ない2635億円(前期実績比0.4%増)、営業利益は従来予想より140億円少ない330億円(同34.7%減)に修正した。前期実績より50円減の76円とする年間配当金予想は変えなかった。
スポーツ、デジタルエンタ両事業の業績
コナミHDは下方修正の理由について、格安ジムとの競争が激化するフィットネスジム「コナミスポーツクラブ」などのスポーツ事業において、事業構造の体質強化に向けて減損損失を計上することなどを挙げた。ただ、多角経営のコナミHDにおいてスポーツ事業は売上高でみて4分の1程度。主力は売上高で50%台に及ぶスマホ向けゲームソフトなどのデジタルエンタテインメント事業だ。
業績修正と同時に発表された2019年4~12月期連結決算によると、セグメント利益はスポーツ事業が前年同期比13.4%減の22億円に低迷したが、デジタルエンタ事業のセグメント利益も10.0%減の290億円と減益だった。コナミHDはデジタルエンタ事業の減益の要因について、「新作タイトルの制作費や将来に向けての研究開発が増加した」と説明している。
野村証券は2月4日配信の「2020年3月期の(スマホゲーム事業の)新作振るわず収益性悪化を織り込む」と題するリポートでコナミHDの目標株価を5800円から5000円に引き下げた。リポートでは「既存モバイルゲーム事業は野村予想通りに安定的に成長しているが、新作が振るわないこと、研究開発費負担増などにより、収益性の悪化が続く」と指摘している。フィットネスジムに加えて主力事業に不安を拭えないことが、1月末の株価急落の背景にあるようだ。