新卒一括採用は消えるのか 春闘に「変化の荒波」

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非正規雇用の増加に伴う格差の是正も課題

   いずれにせよ、経営側の賃上げへの熱意は前年より低下している。米中貿易摩擦などの影響で企業の景況感悪化しており、ここにきて、中国発の新型肺炎の拡大が世界経済に与えるマイナスへの懸念が急速に拡大していることも、経営側のマインドを後退させている。トヨタ自動車やホンダなどの労組が前年妥結額を下回る要求にとどめる動きもあり、労働側には厳しい展開も予想される。

   賃上げでは、非正規雇用の増加に伴う格差の是正も課題。連合は今春闘の要求に、非正規社員にも勤続年数に応じた昇給ルールを導入することや、法律の最低賃金(東京で時給1013円)とは別に、時給1100円以上の「企業内最賃協定」を労使が結ぶことなどを盛り込んでいる。4月から、正規・非正規の格差是正をめざし「同一労働同一賃金」が大企業向けで実施(中小企業は2021年4月から)されるなか、経営側の対応が注目される。

   今春闘では、「日本型雇用システム」の見直しも大きな論点だ。経団連が、年齢の上昇に伴って上がっていく年功型賃金や新卒一括採用などの見直しを求めている。旧来の仕組みが終身雇用を前提とした「メンバーシップ型」といわれるのに対し、専門性や成果による処遇を基本とする「ジョブ型」の雇用に転換していこうというもので、賃上げについては「脱一律」ということになる。経済のデジタル化やグローバル化のなかで、米大手IT(情報技術)企業などと専門分野で優秀な人材の奪い合いになっている状況を踏まえ、日立製作所会長である中西氏の意向を反映した方針とされる。

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