航空会社のソラシドエア(宮崎市)が2020年2月6日、福岡-沖縄線を3月29日に開設すると発表した。同社は「九州・沖縄の翼」を掲げるが、意外なことに定期便が九州の玄関にあたる福岡空港に乗り入れるのは初めてだ。
福岡の発着枠拡大で同社にとっての「悲願」が実現した形で、今後予定される発着枠拡大を「成長シナリオには欠かせない最大の好機」として、さらに路線を拡大させたい考えだ。
福岡空港「誘導路」二重化で1枠が割り当てられて...
ソラシドエアは1997年に「パンアジア航空」として福岡市で創業。99年に社名を「スカイネットアジア航空」に変更し、00年に本社を宮崎市に移転した。02年8月の宮崎-羽田線を皮切りに、主に九州各地と東京(羽田)や沖縄(那覇)を結んできた。11年に今の「ソラシドエア」のブランドを導入し、15年に社名も「ソラシドエア」になった。
20年2月時点で同社が乗り入れているのは東京、名古屋(中部)、神戸、大分、長崎、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄、石垣の10空港。九州の玄関口である福岡空港には台湾・台北(桃園)との国際線チャーター便を飛ばした以外には就航してこなかった。
ハードルになったのが福岡の混雑ぶり、とりわけ16年に国交省が福岡を「混雑空港」に指定して発着回数や新規就航便の数が制限されるようになったことだ。ソラシドエアの広報担当者は、
「『九州・沖縄の翼』を掲げ、地元の方々の利便性向上の観点から各県順に就航していくうちに、福岡空港が混雑空港となり、参入できなくなっていた」
と説明している。だが、19年末に国内線旅客ターミナルと滑走路とを結ぶ「誘導路」の二重化工事が完了し、発着枠が拡大。ソラシドエアにも1枠(1往復)が割り当てられたことで「悲願」達成となった。
2本目の滑走路は「成長シナリオには欠かせない最大の好機」
ただ、今回参入を表明した福岡-沖縄線は、すでに日本トランスオーシャン航空(JTA)、全日空(ANA)、スカイマーク、格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションの4社が乗り入れる。あえて「激戦区」に乗り込んだことになるが、その背景として両空港の拡張計画を挙げる。
福岡は25年3月に2本目の滑走路がオープン予定で、同社にとっては「成長シナリオには欠かせない最大の好機」。同社にとって羽田に次いで発着数が多い沖縄でも、やはり20年3月に2本目の滑走路の供用が始まる。この点も同社にとって欠航や遅延への対応や効率化に役立つとして、「全体的な路線再編を検討した上で」路線開設を決めた、としている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)