専門家2名はバッサリ
科学的言説の評定サイト「Gijika.com」を運営する、明治大学科学コミュニケーション研究所の山本輝太郎研究員に見解を尋ねると、GCGはエビデンスに欠けると指摘する。
「一般に『〇〇に効果がある』との主張に科学的根拠があるとみなすためには、信頼性の高い実験デザインによって主張したい効果を繰り返し検証する必要があります。たとえば、『機器を使用する群』と『使用しない群』に被験者をランダムに分け、そのうえで主張に合致した指標によってその効果を検証する実験(ランダム化比較試験)や、それらの実験結果を統合する『メタ分析』などが科学的に信頼性の高い研究デザインとされています。国立がん研究センターのページ(https://ganjoho.jp/med_pro/med_info/guideline/guideline.html)が参考になります」
「しかし、少なくとも当該製品のホームページ(HP)では、そうした信頼性の高い実験が実施されている形跡は見当たりません。当該機器に特有としてうたわれている効果について、科学的根拠があるとはいえないと思われます」
「ただし、当該機器はいわゆる『足湯』の製品ですので、評価対象を『足湯の効果』まで広げた場合、いくつかのランダム化比較試験が見つかりました(医学系文献データベースPMIDの「27261980」など)。たとえば、『一日30分程度の足湯を1か月程度継続することによって高齢者の睡眠時間や質が改善する』などの効果についての研究です。ただし、これらも限定的な効果が示されているに過ぎないため、慎重に評価する必要があります」
山本氏に、より具体的な問題点を挙げてもらった。
「HP上で記載されている実験とされるものの一つに、ごく少人数の6人の対象者に『当該製品(3人)』と『類似品(3人)』の使用の違いによる比較が掲載されています。しかし、そこで使用されている『波動測定器』なるものにそもそも大きな問題があります。ここでいう『波動』とは物理学的な波動ではなく、『自然エネルギー』などの独自定義による概念を測定しているもので、科学的に十分に議論されているものではありません」
「簡単に言うと、『そもそも何を測定しているのかよくわからない機器によって計測された数値』でしかなく、評価に値しない結果です。さらに、HP上に記載しているのは当該製品と類似品3人ずつの使用者のうちの一人分の結果ですが、誤差の影響などによってこれだけでは普通は何もいえないはずで、多くの被験者を比較し統計的に検証されなければいけません」
「なお、『有害ミネラル』についても、HP上で記載されているのは6人の被験者が当該製品を使った後の数値だけで『比較対象』がないため、これだけでは何もわかりません。また、グラフの目盛をかなり拡大して違いがあるかのように強調していますが、その値にどの程度意味があるかが書かれていないためこれも評価不能です。そもそもグラフの記載意図がわからず、単に『科学的っぽくみせるため』だけにグラフを載せているのではないかと思われます」
京都女子大の小波秀雄・名誉教授(物理化学)も、「まったくのデタラメ」と言ってはばからない。そもそも、体内の悪いものを排出するという意味での"デトックス効果"自体が眉唾ものだとする。
水が変色するのは、鉄やクロムのイオンが溶け出すためで、番組での体験者の反応が二分したのは「塩分濃度や電極の調節などすれば、いくらでも可能です」と断言。「金属アレルギーの人は、ニッケルに敏感なケースが多いので、簡単に発症してしまうのではないか」と使用リスクも懸念する。