芸能人が立て続けにYouTuberデビュー 「テレビと使い分ける」時代の到来か

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   このところ、芸能人のYouTuberデビューが相次いでいる。2020年1月29日にはお笑い芸人の宮迫博之さん(49)がYouTuberデビューを果たしたほか、31日には女優の川口春奈さん(24)が公式チャンネル「はーちゃんねる」を開設。2月に入ると、1日にはお笑い芸人の江頭2:50さん(54)が参入したほか、2日には柏木由紀さん(28)が「ゆきりんワールド」を始めるなど、立て続けの新チャンネルが誕生している。

   このほか、1月8日にはモデルのローラさん(29)がデビューするなど、芸能人のYouTuberデビューはもはやトレンドとなりつつある。そこで、今回は、これら、YouTubeデビューを果たした芸能人について、そのチャンネルの性質などを分析していこう。

  • 宮迫博之さん(2015年撮影)
    宮迫博之さん(2015年撮影)
  • 宮迫博之さん(2015年撮影)

「避難所」型の宮迫さん、「拡大型」の川口さんと柏木さん

   まず、これら5人の中で、一番切羽詰まった状況でYouTuberデビューを果たしたのは宮迫さんと言えるだろう。宮迫さんは2019年7月に明らかなった反社会勢力に対する闇営業問題で謹慎中の中で公式チャンネルを開設。そのため、YouTuberデビューの際には多くの批判がコメント欄に寄せられたが、その後はファンからの声援が続々と寄せられるなど、情報発信の場として受け入れられ始めているのは事実であり、宮迫さんにとっての「避難所」になっているのは間違いなさそうだ。

   これと対照的なのが、「拡大型」と言える川口さんと柏木さんだ。川口さんはNHK大河ドラマ「麒麟がくる」に出演中であり、正に、出世街道まっしぐらといった状況の中でYouTuberデビューを果たした。また、柏木さんは、すでにAKBメンバーの「長老」的存在であり、確固たる地位を確立している中での公式チャンネル開設となった。

   2人に共通しているのは、すでに十分に仕事があるにもかかわらず、それでもYouTuberを始めたということは、さらなる市場を獲得しようという意志があるということであり、その姿勢は「拡大型」と言えるだろう。実際、川口さんが公開した動画のコメント欄には、「YouTuberつぶしにきてる笑」といった指摘すらなされるほどであり、既存のYouTuberの脅威となり得る存在と言えるだろう。

「適任型」の江頭さんと「迷走型」のローラさん

   また、すでにベテランお笑い芸人である江頭さんだが、YouTuberという売り出し方は、本人にとってこの上なくフィットしており、「適任型」のデビューと言えるだろう。江頭さんといえば、時に、過激すぎる立ち居振る舞いが持ち味のお笑い芸人であり、場合によってはテレビでは放送できないレベルの内容になってしまうこともあった。

   事実、「笑っていいとも」(フジテレビ系=放送終了)の2001年の放送では、出演者の橋田寿賀子さんにキスをしてしまい、その後、同番組を13年にわたって出入り禁止になってしまったほどだ(復帰は2014年の放送で)。しかし、YouTubeでは、テレビでは出来ないとされている過激なパフォーマンスが続々と行われているのが実情であり、江頭さんが実力を遺憾なく発揮できる場所と言えるからだ。正に、時代が江頭さんに追い付いたと言えるだろう。

   一方のローラさんは一時期、テレビへの出演が途絶えた時期があったが、2020年1月13日に「深イイ話2時間SP」に出演したのを皮切りに、「モニタリング」「BACK TO SCHOOL」と、立て続けにテレビ出演を果たしているが、YouTuberデビューを果たしたのは8日。チャンネルでは本人が得意とするトークがメインのゆるい雰囲気が楽しめる動画がアップされており、本人のカラーを生かした動画づくりがなされているのが分かる。

   ただ、これらの要素はローラさんがテレビ出演を頻繁に行ってきた時にすでに発揮してきた能力であり、せっかくテレビ出演が増え始めた時期に同時にYouTubeで行うというのは、YouTuberデビューの趣旨がややぼやけていると言えるだろう。このため、ネット上には「ローラが迷走しているのではないか」といった声も上がっているほどであり、それを金下ると「迷走型」のデビューとも言えるだろう。

デビュー時期が重なったことに、何らかの必然性はあるのか?

   これら、デビューの時期が短期間に重なった5人の芸能人だが、そのあまりの近似性には何らかの必然的な要素はあるのだろうか。デビュー時期が重なったことについて、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は以下のように指摘する。

「芸能人のYouTuberデビューは、以前はカジサック(梶原雄太)さんのように、テレビに出づらくなった場合の、それこそ、『避難所』的なものと認識されていましたが、ここ最近はよりポジティブに、『テレビよりも自らのカラーを出しやすいメディア』として芸能人の皆さんに認識されるようになってきました。今回の5人でいうと、宮迫さんは梶原さんと状況が似ていますが、他の方は、よりポジティブなデビューだったと言えるわけで、この時期にデビューが重なったのは、『YouTubeが自由に情報発信できるメディア』であると、芸能人の皆さんが再注目し始めたからではないでしょうか」

加え、井上氏はYouTubeの利点について指摘する。

「動画をアーカイブしておく場所として、YouTubeは非常に適しているというのもあると思います。動画はブログに埋め込むと非常に見に行きづらいですが、YouTubeでは動画を一覧でアーカイブできるのが非常に大きな利点です。また、動画はインスタグラムにもアップできますが、尺が短いものに限定される上、古い動画はすぐに下に流れて行ってしまい、やはり見に行きづらくなってしまいます。YouTubeはこれらの欠点がないので、芸能人に好まれる傾向にあります」

さらに、井上氏は以下のようにも指摘する。

「民放で言うところのテレビ朝日とAbemaTVのように、テレビ出演とYouTube出演を『同じ主体による別アカウント』のように考えている芸能人もいます。たくさんの人に自らの情報を届ける装置としてテレビを使いつつ、自分のカラーを強調した情報を届ける装置としてYouTubeを使うという『使い分け』をしていくことは、実に合理的な判断と言えるでしょう」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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