北京の新型コロナ肺炎の危機はこれから 消費への打撃はSARSを超える

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レストランも映画館も売上ほぼゼロ

   2月5日に北京ではまた雪が降った。たまに団地の外で野菜を売っていたおばさんも4日までにいなくなり、四六時中渋滞の道路も春節に入ってから車の影はほとんど消えている。ネット地図で北京の渋滞状況を調べると、赤どころか黄色の場所もひとつさえない。

   中心街の中関村のいくつかのレストランの前を歩いてみたが、窓の中は明かりがともっていないか、ついていても客はほとんどいない。ネット上では、レストランの店長らが春節の宴会のために準備した野菜が使えなくなり廃棄したとか、買いためた肉もこれからどうするか、たいへん困っているといった「嘆き」が目立つ。

   レストランチェーンのデータを調べてみると、市民がよく通う「旺順閣」レストランは、北京市内に60店舗展開しているが、春節期間中の客数は昨年とくらべ98.49%減で、売上も93.77%減となった。ほぼゼロに近い。市民に人気のある「眉州東坡」レストランもほぼ同様だった。

   また、店をひらいたとしても、店員や客の体温の測定、食器やテーブルの消毒など、いつもより余計な手続きや出費が増えている。しかし、営業しなくても家賃などを払わなければならない。

   春節期間を封切のターゲットにしていた映画は、今年、全部中止となった。ネット上、無料で見られる映画もわずかにあるが、映画館自体はほとんど閉鎖のまま。春節期間は年間でもっとも稼げる時期だが、2020年はそれは売上ゼロだった。

   2月10日から工場なども稼働し始まる。部品の提供は保障されるか、さらに生産した製品はほんとうに売れるか、筆者の知っている経営者たちは「分からない」という。まず従業員用のマスクを手に入れられるか、食堂ではどんな形で食事を取るか、という方策を考えるのに手いっぱいだ。

   「2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)の時より今のほうがずっと厳しく感じる」と北京の経営者たちは口をそろえる。

   北京の市民生活は立春後も、厳冬のままである。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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