神戸市内で購入した粉ミルクの缶の中にガーゼのような異物が入っていたと、ツイッターで拡散する騒ぎがあった。
メーカー側は、調査した結果、その可能性は極めて低いと説明している。関係各所に取材した。
黒いテープが貼られたガーゼが混入?
2020年1月21日のツイッター投稿によると、生後1か月の息子がいるという母親が、ミルクを作ろうと、半分ほど使った粉ミルクを底の方からスプーンですくおうとしたときだ。
中から、粉まみれになったガーゼ状の白い正方形のものが出てきた。その周りには、黒いテープが貼られたような状態だったという。
この粉ミルクは、アサヒグループ食品が手がける和光堂ブランドの「はいはい」で、810グラム入りの大きな缶のタイプだった。
母親は、使用済みのガーゼではないかと怖くなり、すぐにメーカーのお客様相談室に連絡したそうだ。その後、宅配業者が来て、異物が入った粉ミルクの缶を引き取り、調査して報告書を後日郵送するというメーカー側の説明を伝えられたという。粉ミルク代2000円ほどについては、返金対応を受けたとした。
そして、31日になって、夫の携帯電話にメーカー側から結果報告の連絡があった。そこでは、ガーゼとテープが混入していたが、十分な対策をしているため、製造工程では考えられないとの説明だったという。自宅内か、粉ミルクを年末ごろに買った西松屋で混入した可能性があるとの内容だったともいう。
これに対し、購入した粉ミルクの缶はフタで密封されており、家には同様なガーゼなどはないとして、母親は、製造工程での混入ではないかと疑念を持っているとした。2月3日になって、メーカー側からは、9日にも母親に直接説明などをしたいと連絡があったことも明らかにした。
一連の投稿は、ツイッター上で注目を浴び、中には3万件以上リツイートされたものもある。
「製造状況を調べたところ、混入した形跡は見られなかった」
母親は2月4日、ミルクを飲んだ息子には、吐くなどの異変は特になかったとJ-CASTニュースの取材に答えた。メーカー側の調査報告書については、まだ届いておらず、9日の話し合いなどで聞いてみたいとした。
メーカー側のアサヒグループホールディングスは5日までに、J-CASTニュースの取材にこう答えた。
「製造状況を調べたところ、何かが混入した形跡は見られませんでした。チェック体制はできており、製造工程の中での可能性は極めて低いと考えています。どこで混入したのかについては、分かりません」
粉ミルクへの異物混入については、管轄の保健所にはすでに説明したという。5日午前の時点では、保健所からの立ち入り調査や指導などは受けていないとしている。
神戸市保健所の北衛生監視事務所は4日までに、住民からこの日に粉ミルクへの異物混入について届け出があったと取材に答えた。今後は、メーカーの製造工場がある栃木県の県北保健所に調査を依頼するとした。このことについて、母親にも説明したという。
また、西松屋の店舗についても、4日に調査したが、特に問題は見つからず、店での混入は考えにくいとしている。
栃木県の生活衛生課は5日までに、メーカー側から3日に、粉ミルクに異物が混入していたとのクレームがあったと報告を受けたと取材に明らかにした。神戸市保健所から調査の依頼を受けており、今後は工場に立ち入り調査するなどしたいとしている。
母親は、異物混入について西松屋に直接話はしていない模様で、西松屋チェーンの総務部は5日、母親のツイート内容については把握しているとしながらも、「店での購入を確認できませんでしたので、お答えできることはないです」と取材に答えた。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)