メルペイ・Origami統合 「淘汰の号砲」市況はどう受け止めたか

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   体力勝負を繰り広げてきたスマートフォン(スマホ)決済サービス業界に、いよいよ淘汰の波が押し寄せた。

   フリーマーケットアプリ最大手メルカリが、スマホ決済子会社のメルペイが同業のOrigami(オリガミ)を買収すると発表したのだ。

  • 統合で事態は変わるか
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単独での生き残りには「疑問視」もあった

   オリガミが展開する「Origami Pay(オリガミペイ)」は、一定の周知期間を経て「メルペイ」に統合され、ブランドが消滅することになる。スタートアップ企業のオリガミは2016年にスマホ決済サービスを開始したパイオニアだっただけに、インターネット上では「今までありがとう」「サービスの着眼点はよかったけどね」「雰囲気は好きだった」などと惜しむ声も上がった。

   ただ、オリガミの置かれた状況は厳しく、単独での生き残りを疑問視する見方が多かったのも確かだ。オリガミの営業赤字は2016年12月期に6億8900万円、17年12月期に13億600万円、18年12月期に25億4400万円と急激に拡大。ソフトバンクグループが手がける「PayPay(ペイペイ)」が豊富な資金力を背景に巨額の還元キャンペーンを仕掛けて利用者を増やし、他社も対抗策を打つ中、スタートアップで資金力が限られるオリガミは「反撃の道筋がまったく見えない」(金融関係者)苦境に陥っていた。

   一方のメルペイも、500万人の利用者を抱えているものの、販促費や初期投資がかさんでおり、親会社のメルカリは2019年7~9月期決算で70億円の営業赤字を計上した。メルカリにとってさらに痛手となったのは、「PayPay」を手がけるソフトバンクグループでヤフー親会社のZホールディングスと、LINE Payを展開するLINEの経営統合が19年11月に発表されたことだ。統合後のブランドをどうするかはまだ明らかにされていないが、2300万人が利用するPayPayと、若者を中心に3690万人の利用者を抱えるLINE Payが一緒になれば、業界内での存在感や競争力が増すのは間違いない。

中小企業へのアプローチで反転攻勢なるか

   メルカリはもともと、LINEやNTTドコモ、KDDIとスマホ決済の加盟店開拓などで提携していた。だが、ZホールディングスとLINEの経営統合が決まったことで、この提携関係も白紙に。戦略練り直しを迫られたメルカリが、追い詰められていたオリガミに飛びついた――というのが今回の買収劇の構図と言えそうだ。

   オリガミは全国の信金の中央機関である信金中央金庫と資本業務提携を結んでおり、メルカリはオリガミ買収によって「地域の中小事業者へのメルペイ導入を進めていく」としている。これまで手薄だった地方の中小企業などに自社のキャッシュレス決済を広げることで、PayPay・LINE Pay連合に迫りたい考えだ。

   だが、メルペイ・オリガミに対し「弱者連合」という見方は根強い。買収発表翌日の20年1月24日、東京株式市場ではメルカリの株価が急落した。NTTドコモとの提携報道(2月3日)で、株価は持ち直したが、市場では「赤字のオリガミの買収は、反転攻勢のきっかけどころか、さらなる業績悪化につながりかねない」(大手証券幹部)といった厳しい指摘が上がっている。

   いずれにしろ、事業者が乱立して戦国時代と称されるスマホ決済業界で、淘汰の号砲が鳴ったのは間違いない。業界内では「これは序の口で、さらなる再編は避けられない」(関係者)との声が聞かれる。オリガミの次にターゲットになるのはどこなのか――。キャッシュレス決済の拡大とともに、業界の合従連衡も加速しそうだ。

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