中小企業へのアプローチで反転攻勢なるか
メルカリはもともと、LINEやNTTドコモ、KDDIとスマホ決済の加盟店開拓などで提携していた。だが、ZホールディングスとLINEの経営統合が決まったことで、この提携関係も白紙に。戦略練り直しを迫られたメルカリが、追い詰められていたオリガミに飛びついた――というのが今回の買収劇の構図と言えそうだ。
オリガミは全国の信金の中央機関である信金中央金庫と資本業務提携を結んでおり、メルカリはオリガミ買収によって「地域の中小事業者へのメルペイ導入を進めていく」としている。これまで手薄だった地方の中小企業などに自社のキャッシュレス決済を広げることで、PayPay・LINE Pay連合に迫りたい考えだ。
だが、メルペイ・オリガミに対し「弱者連合」という見方は根強い。買収発表翌日の20年1月24日、東京株式市場ではメルカリの株価が急落した。NTTドコモとの提携報道(2月3日)で、株価は持ち直したが、市場では「赤字のオリガミの買収は、反転攻勢のきっかけどころか、さらなる業績悪化につながりかねない」(大手証券幹部)といった厳しい指摘が上がっている。
いずれにしろ、事業者が乱立して戦国時代と称されるスマホ決済業界で、淘汰の号砲が鳴ったのは間違いない。業界内では「これは序の口で、さらなる再編は避けられない」(関係者)との声が聞かれる。オリガミの次にターゲットになるのはどこなのか――。キャッシュレス決済の拡大とともに、業界の合従連衡も加速しそうだ。