2020年2月2日に投開票された京都市長選では、現職の門川大作氏(69)=公明党、自民党府連、立憲民主党府連、国民民主党府連、社民党府連推薦=が4選を果たし、弁護士の福山和人氏(58)=共産党、れいわ新選組推薦=、前京都市議の村山祥栄氏(41)の2新人をくだした。
国政選挙と地方選挙では与野党の構図が異なることは珍しくないが、各社の出口調査によると、門川氏は立憲・国民の支持者の票をまとめきれず、相当数が福山氏や村山氏に投票。国政で国民・立憲を支持する人には不満を残す結果になった。現職候補に国政与野党が「相乗り」することが有権者に理解されず、野党共闘へのハードルが改めて浮き彫りになった。
門川氏に投票したのは「立憲支持者の24.4%、国民支持者の34.8%」
京都市長選では、12年、16年と「国政与野党相乗りvs共産」の構図が続いてきたが、門川氏が初当選した08年以来12年ぶりの三つ巴の戦いになった。各社の出口調査によると、自民・公明支持者の多くが門川氏に、共産・れいわの支持者が福山氏にそれぞれ投票する中で、大きく割れたとみられるのが立憲・国民の支持者の動向だ。
2月3日付の京都新聞が掲載した出口調査の結果によると、門川氏に投票したのは立憲支持者の24.4%で、国民支持者の34.8%にとどまった。一方の福山氏は「立民の4割に食い込んだ」といい、村山氏も「自主投票とした日本維新の会支持層の5割、国民支持層の3割も取り込んだ」。
KBS京都とNHKの出口調査では、支持政党別の投票先をグラフで紹介している。KBS京都の調査によると、立憲支持者の2割強が門川氏に投じたのに対して、福山氏、村山氏にそれぞれ3割程度投票した模様だ。国民支持者は、門川氏、村山氏に3割程度、福山氏に2割強投票したとみられる。国民支持者の方が立憲支持者よりも福山氏に対する強い警戒感が読み取れる。NHKの調査でも、門川氏に投票した両党の支持者が半分未満だったことが読み取れる。
八王子市長選では国民が現職、立憲都連が新人を支援
地方の首長選では、現職候補に国政与野党が「相乗り」することが珍しくなく、1月26日に行われた東京都八王子市長選も、その一例だ。無所属で現職の石森孝志(たかゆき)氏(62)=自民、公明、国民推薦=が3選を果たし、対抗馬だったのは、弁護士の白神(しらが)優理子氏(36)=共産、立憲都連推薦=ら新人3人。京都市長選とは違い、立憲の地方組織は対抗馬の支援に回った。
1月31日の記者会見では、八王子や京都の事例を踏まえて、地方組織と党本部の連携の仕組みを問う質問に対して、立憲の枝野幸男代表は、
「基本的には、それぞれの党本部の推薦や支持(の依頼)を都道府県連から上げてこないということは、本部のコミットを都道府県連組織自体が求めていないということだし、基本的にはそういう状況では党本部は関知はできない、しようがない」
などとして地方組織と党本部は無関係だという点を強調した。
当時、門川氏の選挙母体「未来の京都をつくる会」が地元紙に「大切な京都に共産党の市長は『NO』」などとうたった意見広告を出したことが問題視されていた。会見では、ネガティブキャンペーンのような広告への評価を問う質問も出たが、枝野氏は「広告自体存じ上げませんので、コメントのしようがありません」。この発言をJ-CASTニュースが報じると、ツイッターでは立憲支持者とみられる人から失望の声が相次ぎ、中には数千回リツイート(拡散)されるものもあった。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)