東日本大震災がターニングポイントに
報道を読み解くにあたり、重要なのが東京都の事業計画だ。さかのぼること半世紀以上、都は1957年に都市計画公園のひとつとして、この一帯に整備する「練馬城址公園」を指定した。それから長年にわたり具体化はしなかったが、石原慎太郎知事時代の2011年に事態が動いた。
東日本大震災が起きたこの年に発表された「都市計画公園・緑地の整備方針」改訂版では、新たに整備する「新規事業化区域」のひとつとして、練馬区春日町1丁目と向山3丁目の21万9000平方メートルで構成される「練馬城址公園」を挙げている。計画期間は、11年度から20年度までの10年間と定められ、まもなく最終年度に突入する。
同時公開された「参考図」を見ると、としまえんの主要施設があるエリアが、敷地内を東西に流れる石神井川をはさんで、すっぽりと覆われている。網掛けされた区域部分には、隣接する温浴施設「豊島園 庭の湯」や、「トイザらス」「ベビーザらス」としまえん店なども含まれるが、シネマコンプレックス(映画館)の「ユナイテッド・シネマとしまえん」は範囲外にある。
都は、公園整備によって、防災機能の強化をもくろんでいる。優先整備区域の選定理由については当時、
「公園、緑地が持つ機能と役割について、防災、環境保全、レクリエーション、景観の魅力、この四つの視点と水と緑のネットワークを形成する上での重要な位置づけ、こういった点から重点化を図るべき公園、緑地を選定しております」(11年10月4日、都議会都市整備委員会での都市づくり政策部長発言)
「緑地が持つ本来の機能の発揮はもとより、本年三月に発生した東日本大震災を踏まえまして、防災機能強化等の視点から優先整備区域としております」(11年11月8日、都議会環境・建設委員会での都公園緑地部長発言)
などと説明していた。