ゲーム・音楽などの総合プロデュース企業「ブシロード」の創業者・元社長で取締役の木谷高明氏(59)が、ライブでのファンによる過激な応援行為「イエッタイガー」(家虎)を根絶する方向で動くと、ツイッターで宣言し、アニメ・ゲームファンの大きな反響を呼んでいる。
地下アイドルからアニメ・声優に流入?
木谷氏は2020年2月2日未明、ツイッターで、
「お知らせ。家虎根絶する方向で動きます。今後、明らかにライブの妨害に当たるものは退出に留まらず、ブラックリスト化。場合によっては損害賠償請求など法的手段の検討もさせて頂きます」
とツイートした。「家虎」とは、アイドルや声優のライブ現場でファンが「イエッタイガー!」と大声で叫ぶ過激なコール「イエッタイガー」のことで、迷惑行為とみなすファンと楽しみたいファンとの間で対立などが発生していた。
「イエッタイガー」の正確な成り立ちは不明だが、主に地下アイドルのライブで行われていた行為といわれ、これが声優・アニソンのジャンルにも持ち込まれ、過激なファンが行う行為という認識になり、「家虎」の通称で知られるようになったと考えられる。
この行為が問題視される理由は、わざわざコールを目立たせるために、ボーカルやサウンドが途切れる合間を狙ってなされるためでもある。歌を楽しみたい観客にとっては、全く関係のない叫び声が歌の合間に聞こえてくるので、気分を台無しにされる、と嫌われている。声優・アニソンの界隈では家虎を忌避する声も根強くあり、アーティストから直接苦言を呈されることもあった。音楽ユニット「fripSide」のメンバーで作曲家の八木沼悟志さんは、かつてグループの公演中のMCでこの行為を強く非難したこともあった。
家虎「名指しで禁止」は少なかった
多くのライブ会場での観客向けマナーのレギュレーションは、周囲の迷惑になる行為、大声・奇声を上げる行為、ペンライトの過度な改造などを禁じている。しかし、イエッタイガーと名指しで禁止しているところは少なく、観客の良識に委ねられている面もあった。アイドルグループの「私立恵比寿中学」が公式ブログで「サビ前のイエッタイガー」禁止を明記したり、個別のイベントで禁止のアナウンスがある程度である。
ブシロードが関わるコンテンツ「BanG Dream!」(バンドリ!)「レヴュースタァライト」などでもこの行為は目撃されており、直前の2月1日開催のRoselia(ロゼリア)の単独ライブ「Rausch」(ラウシュ)でもイエッタイガーがあったと報告するツイートもあり、木谷氏の投稿もこれに関連があったのではとも推測されている。これまでにもイエッタイガーがその場で迷惑行為とみなされれば退場となる可能性があったが、木谷氏の姿勢を見ると、今後はより厳しいペナルティが課せられるかもしれない。
木谷氏のツイートは2月2日午前には幅広く拡散され、「家虎根絶」はツイッターのトレンドにも上った。関連するツイートを見ると、
「やる奴はそのアーティストが好きなんじゃなくてただ自分が目立ちたいだけ、承認欲求が強いだけの馬鹿」
「家虎根絶が宣言されて『ライブの楽しみ方の多様性を否定するのか』と憤っている痴れ者がいる様だが、演者に対する妨害行為やちゃんとマナーを守っている他の参加者に不快な思いをさせる事が【多様性】なのか?」
など、肯定的な感想が多数を占めているが、一方でブシロード関係のライブで家虎が禁止されると、騒ぎたい客層が他のアーティストやコンテンツのライブに流入してくるのでは、と懸念を示すネットユーザーもいる。