2020年1月28日に埼玉・所沢市で行われた西武の出陣式。ファンから大歓声を受けたのが14年ぶりに古巣復帰した松坂大輔だった。
復帰後初めてユニホーム姿を披露。「14年ぶりに帰ってきた松坂です。昔のイメージを持っている方もたくさんいると思いますが、今はなかなか難しい。どんな形であれ、チームのリーグ3連覇の力になれるように頑張ります」と誓った。
力でねじ伏せる投球は難しいが...新たなスタイルで活路
昔のイメージ――「平成の怪物」の全盛期は強烈だった。150キロを超える直球に切れ味鋭いスライダー、落差のあるカーブを武器に、横浜高3年時に甲子園春夏連覇を達成。西武入団1年目に16勝をマークするなど3年連続最多勝に輝き、8年間の在籍期間で108勝を積み上げた。
ただ、もうそのスタイルを追いかけることはできない。右肩痛など度重なる故障で、中日に在籍した昨季は2試合のみの1軍登板で未勝利。直球の球速は常時130キロ台に落ちた。力でねじ伏せる投球は厳しい。打者の手元で球を動かし、バットの芯を外して凡打を築くスタイルに活路を見出している。
2月1日に始まるキャンプは宮崎・南郷でのA班(1軍)で始動する。絶対的エースだった当時と違い、先発ローテーションを勝ち取るためにはオープン戦で結果を出すことが求められる。
山賊打線の援護を期待できる強み
体調が万全であれば十分にチャンスはある。昨季2ケタ勝利を挙げたのは12勝のニール、10勝の高橋光成の2人のみと先発陣の層は薄い。救援陣はセットアッパーに平井克典、平良海馬、小川龍也、守護神・増田達至と勝利の方程式が確立している。12球団屈指の破壊力を持つ「山賊打線」が援護射撃を約束してくれるため、先発陣は6回3失点で投げ切れば十分に合格点だ。
西武ファン歴30年という東京都練馬区、会社員の今中隆司さん(40)は、「松坂の全盛期を知っているファンからすれば2ケタ勝利を挙げてほしいけど正直厳しいと思う。負け数を少なく5勝すれば及第点。8勝できれば3連覇にグッと近づくと思う。マウンドでどんな投球を見せてくれるのか楽しみ」と期待を込める。
おそらく西武がNPBで所属する最後の球団になるだろう。松坂の野球人生を賭けた1年が始まる。