負の遺産一掃できたか 経営改革進めるオリンパス、市場から集まる好感

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   オリンパスの株価が2020年1月17日まで3日連続で上場来高値を更新した。

   野村、大和、SMBC日興の国内3大証券が年明け後に相次いで目標株価を引き上げ、大和は投資判断も5段階の最上位に格上げしたことで、投資家の買い注文が集まった。医療機器が好調ななかでコスト削減などで経営が新たな段階に入ったことが好感されている。

  • オリンパスの株価が好調。その背景は(イメージ)
    オリンパスの株価が好調。その背景は(イメージ)
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ガバナンス体制一新など評価

   17日の株価は一時、前日終値比2.1%(37円)高の1810円まで上昇した。17日の終値1802円は2019年末の終値に比べて6.7%(113円)上昇しており、年明け後は上値を追う展開が続いた。その日以降は高値警戒感から一進一退を繰り返しつつも下落基調にはない。

   2020年1月10日配信のリポートで投資判断を5段階で上から2番目の「2」から最上位の「1」(今後6カ月程度のパフォーマンスがTOPIXを15%以上上回る)に格上げし、目標株価を1800円から2200円に引き上げた大和証券。アナリストの葭原友子氏は「マネジメント体制の変更は改革に向けた強い意志表示」「外部コンサルタントの活用によるコスト削減プロジェクトの推進」などを理由に挙げた。

   オリンパスは2019年7月に「物言う株主」として知られる米バリューアクト・キャピタルの関係者2人を社外取締役に迎えた。日本経済新聞は「厳しいことも言われるが、会社が抱える根本的な課題を指摘してもらえる」との竹内康雄社長の発言を伝えている。竹内氏は2019年4月に社長に就任した。また、オリンパスは2019年9月中間連結決算(国際会計基準)と同時に新たな経営戦略を発表し、この中で2023年3月期に営業利益率20%以上(今期予想は11%)を目指すとする「利益率倍増計画」を明らかにした。そのためにコスト削減を進めるとしている。大和証券の格上げはこうした点を評価したものだ。

   これに先立ってSMBC日興証券は1月7日配信のリポートで、目標株価を925円から1800円に一気に引き上げた。投資判断は3段階の真ん中の「2」で据え置いた。「ガバナンス体制を一新し、企業文化の変革へ挑戦が始まっている」などと指摘したうえで、「中間決算の実績や足元の状況、中期経営戦略の方針などを踏まえて(SMBC日興証券としての)業績予想を上方修正した」としている。それは目標株価引き上げの理由でもある。

「営業利益率倍増」には懐疑的な見方も

   2019年9月中間決算の内容を確認しておこう。売上高は前年同期比1.9%増の3891億円、営業利益は17倍の509億円。純損益は360億円の黒字(前年同期は54億円の赤字)だった。前年同期にあった過去の不正会計を巡る訴訟の和解金やデジタルカメラ工場の閉鎖費用がなく、その反動で業績が改善。営業利益は過去最高を更新した。刷新した経営体制のもと、不祥事などの負の遺産から脱し、次のステージに向かう準備が整いつつあることを示している。

   野村証券は15日配信のリポートで目標株価を1600円から2050円に引き上げた。「2020年3月期の上期は50億円前後の実質的コスト削減となり、4~6月期(6億円)に比べコスト削減効果が大きい」とし、「医療機器事業の成長性と採算性の改善を評価」した。「短期的には好業績が続く」とも指摘している。2019年末以降、国内3大証券以外にもクレディ・スイス証券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券も目標株価を引き上げており、投資家の買いを後押ししている。

   ただ、経営戦略における野心的な「営業利益率倍増」については、「根拠となる具体的な施策が示されていない」として懐疑的な見方も株式市場にある。さらに株価が上抜けるには、さらに実績で示していく必要がありそうだ。

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