「東大女子お断り」サークルは「純然たる差別行為」 新歓めぐり学生自治団体がコメント

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   東京大学の女子新入生がサークルなどから「性別を理由に入会を断られる」といった事例が報告されているとして、東大の新入生歓迎行事をまとめる学生自治団体が、こうした入会制限は「純然たる差別行為」にあたるとの姿勢を示した。

   公式サイトで2020年1月26日、コメントを掲載した。一部サークルが他大学在籍の女子学生は参加を認める一方で、東大の女子学生は認めないとしていることは、以前から学内で問題視されてきた。

  • 東大の女子学生は入れない?
    東大の女子学生は入れない?
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「純然たる差別行為であり、新入生に不快な思いを与えます」

   コメントを出したのは、新歓行事の運営をサポートし全体的な企画・指導・調整をする学生自治団体「2020年度東京大学教養学部オリエンテーション委員会」。1月末に予定しているサークル代表者向けの新歓に関する説明会を前に、8日に「第1回サークル代表者会議のお知らせ」を公開した。そこに26日、追記文として「今年度新たに追加される規則について」と題して以下のようにつづった。

「昨年度以前のテント列やサークルオリエンテーションにおいて、毎年のように、本学の女子新入生が性別を理由に入会を断られるといった事例が報告されています。正当な基準なく特定の大学を対象に性別のみに基づいて入会を規制することは、純然たる差別行為であり、新入生に不快な思いを与えます。このような新入生の不利益になり得る行為は、新入生に対して選択肢が開かれた自由な団体選びを提供することを目指すオリエンテーション委員会として、看過できるものではありません」

   そのうえで「よって、2020年度オリエンテーション諸活動において上記のような差別行為を認めないこととしました。この規則に同意した団体のみがオリエンテーション諸活動に参加できます」と知らせた。なお「これは、2019年度までの新歓方法や団体の性質を問うものではなく、あくまで2020年度オリエンテーション諸活動における差別行為を規制するものです」としている。

   また、「オリエンテーション委員会は今後も全ての団体と新入生に対して公平かつ中立な存在として、本学の学生による自主的で活発な活動、ひいては学生文化全体のさらなる発展の一助となるべく尽力していく所存です」としたうえで、「皆さまには、団体の活動のあり方を見つめ直す良い機会として、今年度のオリエンテーション諸活動を活用していただきたく存じます。ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします」と呼びかけている。

「サークルの加盟等に関する規則」を一部改定

   東大では1~2年時、全員が教養学部に所属する。オリエンテーション委員会については学部公式サイトでも「東京大学教養学部では、学生による新入生のためのオリエンテーションが実施されています。中心となるのは学生有志で構成される教養学部オリエンテーション委員会で、クラスオリエンテーション、サークルオリエンテーション、冊子の発行などを行っています」と説明がある。

   上記文中にある「テント列」とは、3月末の入学手続きに際し、各サークルが勧誘のためにテントを並べた場所のこと。「サークルオリエンテーション」は各サークルがブースを作って新入生に活動を紹介するイベントのことで、いずれも新歓活動にあたる。

   学生自治団体で、同学部の多くのサークルが加盟する「東大教養学部学友会」では19年12月、「サークルの加盟等に関する規則」を一部改定している。新たに追加された条文の1つに、サークルとして満たすべき条件の定めがあり、「普通会員(編注:ここでは学友会費を払ったすべての同学部生のこと)に対し、正当な理由なしに加入の拒否及び除名をしないこと。以下に正当な理由の一例を挙げる」としている。

   そして、加入拒否できる「正当な理由」の一例として、「試合等の出場に関して性別及び年齢等の制限がある場合」と、「性別」に触れている。裏を返せば、試合等の出場と無関係に、性別を理由とした加入拒否はできないとも解釈できる。

東大新聞が女子のサークル参加についてアンケート実施

   先のとおりオリエンテーション委員会が「差別行為」と認めた「性別を理由とした女子学生のサークル入会拒否」は、かねて問題視されてきた。16年3月には、南風原朝和(はえばら・ともかず)理事・副学長(当時)名義で学生向けに文書が配布されており、

「残念なことに、学生団体の中には、本学学生が加入を希望しても、性別、国籍、年齢等により、入会資格等に制限を加えている団体も見受けられるとの報告があります」

との1文がある。さらに、性別などで差別されないことを保障した「東京大学憲章」の前文を引きながら、「学生団体の活動に当たっては、このような理念等を踏まえ、その在り方を改めて確認し、4月以降の新入生への勧誘活動や自主的・自律的な活動に活かされていくことを望んでおります」との思いをつづっていた。

   東大新聞オンラインでは19年3月7日、「東大女子の参加を認めないサークル 東大内に少なくとも3つ」との記事を掲載した。東京大学新聞社は52サークルに対し「東大女子からサークルへの参加可否を尋ねられたら、参加を認めるか?認めないか?」を質問。23サークルから回答があり、うち3サークルが「参加を認めない」と回答したという。この3つはいずれも東大男子学生と他大女子学生で構成されるインカレサークルとのこと。理由として、あるサークルは「伝統としか答えられません」、別のサークルは「他大の女子が大勢いる中、東大女子が少数いてもなじめなさそう」と答えたとしている。

   J-CASTニュースは20年1月27日、前出のオリエンテーション委員会に、女子学生の入会拒否の事例として具体的にどのような報告があったか、報告は例年何件ほどあったか、もし新たな規則を破るサークルがあったらどう対応するか、などについて取材を申し込んだが、「当委員会といたしましては、当委員会の意図と異なった情報が流布してしまうことを懸念し、一切の取材をお断りしております」とのことだった。

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