第39回大阪国際女子マラソンが2020年1月26日、ヤンマースタジアム長居発着の42.195キロで行われ、松田瑞生(24)=ダイハツ=が2時間21分47秒で優勝した。同大会は2020年東京五輪女子代表の選考会を兼ねており、松田は日本陸連の設定記録2時間22分22秒を突破し3枠目の有力候補に名乗り出た。
3月8日に最後の選考レースとなる名古屋ウィメンズが控えており、女子マラソンの代表争いがいよいよ最終局面を迎える。
大阪途中棄権の福士が名古屋で最後の挑戦も
3枠ある女子の代表は、昨年9月に行われた「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC)で優勝した前田穂南(23)=天満屋=と、2位に入った鈴木亜由子(28)=日本郵政グループ=の2人が決定している。日本陸連は、ファイナルチャレンジの3レースで2時間22分22秒の記録を設定し、この記録を突破した最も良いタイムの選手が3枠目の代表に決まるとした。クリアした選手がいなければ、MGC3位の小原怜(29)=天満屋=が代表入りすることになっていた。
ファイナルチャレンジ最初のレースとなった昨年12月のさいたま国際では、この設定記録を突破する選手が出現しなかった。ファイナルチャレンジの2レース目となった大阪国際で松田が全体1位で設定記録を突破。これにより現時点でMGC3位の小原の代表入りが消滅し、小原が代表入りを狙う場合は、名古屋ウィメンズに出場して日本人トップの成績で松田の記録を上回る必要がある。
東京五輪代表をかけた最終レースとなる名古屋ウィメンズのエントリー選手は1月26日時点で発表されていない。さいたま国際、大阪国際を回避した有力選手が名古屋ウィメンズに出場するとみられ、安藤友香(25)、一山麻緒(22)のワコール勢、松田の同僚・前田彩里(28)=ダイハツ=らの出場が想定される。また、大阪国際で途中棄権した福士加代子(37)=ワコール=もラストチャンスにかけ出場する可能性がある。
名古屋ウィメンズでは、松田がマークした2時間21分47秒を超えなければ代表入りはない。名古屋ウィメンズは2012年に名古屋国際から名称を変更し、ナゴヤドーム発着のコースとなった。例年3月上旬に開催され、今年は3月8日に行われる。レースは気温、湿度などを考慮して午前9時10分スタートで行われてきた。
完全復活ならば安藤が打倒松田の筆頭に
名古屋ウィメンズの過去8大会を振り返ると、日本人選手で2時間21分台をマークしたのは、2017年の安藤ただひとり。安藤はこのレースで2時間21分36秒の自己新をマークしており、この記録は松田の2時間21分47秒を11秒上回る。昨年は思うようなレースが出来なかったものの、名古屋での実績は大きな強みとなり、完全復活ならば打倒松田の筆頭に挙げられるだろう。
MGCでチームメイトの安藤、福士を抑えて6位に入った一山も注目のひとりだ。初マラソンとなった昨年3月の東京マラソンでは、2時間24分33秒をマークし日本人女子トップでゴール。30キロまでは2時間21分台を狙えるペースだった。MGCでは粘りの走りを見せ6位に食い込み、成長ぶりを見せた。ワコール勢にとって福士がレースに出場すれば、精神的な支えとなるだろう。
2時間22分48秒の自己記録を持つ前田も代表入りを狙うひとり。前田は2015年の名古屋ウィメンズで日本人トップの2位に入り自己記録をマークした。昨年の名古屋で2時間25分25秒の10位に入り、MGC出場権を獲得。だが、右太ももの負傷によりMGCを欠場し、代表選考の最終レースとなる名古屋への出場が濃厚とみられ、同僚・松田の活躍に刺激を受けているだろう。
大阪国際では、長距離界のエース新谷仁美(積水化学)らがペースメーカーを務め、選手らをうまくペースに乗せたことで好記録が生まれた。春先に行われる名古屋ではここ近年、レース時の気温が高くなることがあり、レースに影響を及ぼす可能性もある。気象条件などの不確定要素を含めての代表選考ではあるが、松田の2時間21分47秒が出場選手にいかに立ちはだかるのか。注目が集まる。