通常、幕尻は上位陣とは当たらない
大相撲では、取組のことを「割(わり)」と呼ぶ。アナウンサーや解説者が多用する「本割」も、これに由来している。割は、基本的に日本相撲協会の審判部が事前に決定するものだが、幕尻の関取が「千秋楽の結びの一番」に登場することは、ほとんどない。横綱が頂点、次が大関、関脇、小結...と序列がある上、15日間という期間が決められている本場所では、おのずと対戦力士が決まってしまうことも多い。つまり、幕尻の関取が、千秋楽の結びで横綱や大関は当たることは、めったにないと考えていい。
その点、今場所は横綱の白鵬、鶴竜が序盤戦で相次いで休場。徳勝龍と同じ年の大関・豪栄道も、5勝10敗という成績で、3月に行われる春場所では関脇となってしまう。大関・貴景勝を中心に関脇、小結、前頭上位が星を潰し合う中、幕尻の徳勝龍は着実に白星を重ねて行った。
結果、千秋楽「結びの一番」後の涙につながった。
徳勝龍の地元である奈良テレビ放送は、ツイッター上で、
「結びの一番、 襲い掛かる重圧は 観ている私達さえも飲み込みそうに 水でわずかに口を湿し、 キッと見開いた眼差しに しかし、迷いや怖れを微塵も見せず 弾丸のようにぶつかり合い 火照った身体に渾身の力を込め 見事な初優勝 男泣き、確と見届けました!」
と綴っている。
笑いながら涙する徳勝龍を見て、「おめでとう」の気持ちとともに、何だかホッコリした気持ちになってしまった人も多いはずだ。
3月の春場所は、大阪で行われる。地元・奈良の方々が多く訪れ「徳勝龍~!」というコールが巻き起こるのではないだろうか。
(J-CASTニュース編集部 山田大介)