岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち ソレイマニ「殺害」の背景にも福音派の声

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「神によってつかわされたトランプ氏」

   オバマ氏やジョージ・ブッシュ大統領(息子、共和党)も、選択肢にはあったが実行することはなかったソレイマニ司令官殺害。

   トランプ氏はなぜ今、踏み切ったのか。

   「弾劾裁判から目をそらすためだ」、「さらなる米大使館攻撃の計画など、作り話だ」と反トランプ派は批判している。

   「今なら米国が強気に出られるから」との指摘もある。

   米国は、シェール・オイルの開発でサウジアラビアやロシアをしのぐエネルギー大国になった。シェール・オイルの限界を危惧する声もあるが、中東の石油に頼り切っていた以前とは状況が変わった。

   一方、イランでは、米国の厳しい経済制裁により財政が悪化。インフレが進み、ガソリン価格が高騰している。国民の不満が爆発し、米国を相手に戦っている場合ではない。

   2020年1月3日の集会で、トランプ氏は福音派たちに訴えた。

"And I really do believe we have God on our side. I believe that. I believe that."
「で、私は本当に信じているのですが、我々には神がついています。そう信じている。そう信じているんです」

   福音派や正統派ユダヤ教徒の多くが信じるように、「神によってつかわされたトランプ氏」が、大統領選で再び勝利を手に入れるか。

   神のみぞ知る。

(随時掲載)

++ 岡田光世プロフィール
おかだ・みつよ 作家・エッセイスト
東京都出身。青山学院大卒、ニューヨーク大学大学院修士号取得。日本の大手新聞社のアメリカ現地紙記者を経て、日本と米国を行き来しながら、米国市民の日常と哀歓を描いている。米中西部で暮らした経験もある。文春文庫のエッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズは2007年の第1弾から累計40万部。2019年5月9日刊行のシリーズ第9弾「ニューヨークの魔法は終わらない」で、シリーズが完結。著書はほかに「アメリカの家族」「ニューヨーク日本人教育事情」(ともに岩波新書)などがある。

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