「ベンガジの悪夢」と重なった大使館襲撃
イランと米国の衝突はそれまでもたびたび起きていたが、米政府関係者によれば、その背後にはイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の存在があるという。
ケンタッキー州レキシントン郊外に住むエリック(40代)は、テレビで大使館が群衆に襲撃される映像を見ながら、大きなショックを受けたという。
「民主党支持者たちだって、あれを見ているはずだ。それなのに、ソレイマニを殺害したトランプを非難しているのが、僕には信じられない。トランプは大使館を守り、我々アメリカ人の命を守ろうと、すぐに対処し、勇敢な行動に出た。『ベンガジの悪夢』を知っているからこそ、トランプに心から感謝しているよ」と話す。
「ベンガジの悪夢」とは、2012年9月、エジプト、リビア、イエメンの米在外公館で、イスラム過激派による襲撃事件が起き、リビア東部の都市ベンガジにある米領事館では、米大使ら4人が犠牲になったことを指す。
この事件は、米国で作成された映画「Innocence of Muslims(イノセンス・オブ・ムスリム)」がイスラム教を侮辱しているとし、イスラム過激派が抗議したものだった。
その時、米大統領は民主党のバラク・オバマ氏、国務長官はヒラリー・クリントン氏だった。トランプ氏は当時から、オバマ大統領の「弱気な姿勢」を非難していた。
ソレイマニ司令官殺害について、「事前に議会に通告がなかった」と批判されていることについて、私の知人でトランプ支持者のレイチェル(60代、フロリダ州タンパ在住)は、「瞬時に判断を迫られる緊急事態で、そんな余裕があるはずがない。しかも、民主党議員が知ったら、情報をリークするに違いない」とまくし立てる。
トランプ氏自身がオハイオ州の支持者集会で、まさにそう語っている。また、ソレイマニ氏が他の米大使館の襲撃も計画していたと明かした。これについてマーク・エスパー米国防長官は、そのような情報は把握していないと、食い違いを見せている。