イオン岡田家の「これから」 社長交代と消えては浮かぶ「世襲」

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新体制の課題

   そんな構造を踏まえてのことなのだろうか、トップ交代の発表会見で岡田氏は「イオンの成長スピードが落ちていて、固定化してきた。近年では大きな統合もない。新しい成長モードに切り替わっていかなければいけない」「イオンが大きくなり、決めない、踏み込まない、リスクを取らない傾向が強くなっていた。それを(吉田氏に)変えてもらう」と率直に語った。

   吉田次期社長は1983年にジャスコに入社。2019年3月から副社長として現在の稼ぎ頭である不動産事業を担い、ショッピングセンターを運営するイオンモール社長を兼務するとともに、デジタル担当として次世代の小売り事業のあり方を追求し、英国のネットスーパー「オカド」との提携を主導した。

   新体制の課題は大きく、デジタル化とGMS・SM立て直しの2つ。スーパーについては「顧客と現場の商品にギャップがあると客が減り、売り上げが落ちる」(吉田氏)として、傘下の食品スーパーの再編を進めて地域のニーズに合った品ぞろえを図るなどの改革を進める考えという。

   デジタル化では、提携したオカドが持つロボットを駆使した物流のノウハウを生かす考えだが、ネットスーパー向けの自動倉庫の建設は2023年、ネットスーパー事業の売上高目標も30年までに6000億円というように、将来を見据えてようやく本格的に取り組み始める段階といえ、いかにスピードアップしていけるかがポイントになる。

   少し長い目で見た注目点として、世襲問題もある。今回の交代について、「(社長在任が)長くなったのは恥じ入るばかりだ」「ずっと死ぬまではやれませんから、交代は(社長に)なった時から思っていた」と語った。交代のタイミングに「意味はない」としたが、関係者が関心を寄せるのが長男尚也氏(36)の存在だ。外資系金融機関を経て2015年にイオンに入り、現在は、フランス発祥のオーガニック食品を扱うグループ内のスーパー、ビオセボン・ジャポンの社長を務める。父・元也氏はかつて、「世襲のメリットはない。創業者一族による世襲は自分限りで終わらせる」と断言していたが、今回の会見では「本人(尚也氏)がどういう風に考えるかもわからないので、なんとも答えようがない」と述べるにとどめた。尚也氏への禅譲もあり得るとの方向に軌道修正したと受け止められている。

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