イオン岡田家の「これから」 社長交代と消えては浮かぶ「世襲」

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   流通大手のイオンのトップが23年ぶりに交代することになった。2020年3月1日付で、創業家出身の岡田元也社長(68)から、吉田昭夫副社長(59)にバトンタッチすると、1月10日に千葉市・幕張の本社で両氏が会見して発表した。ネット通販の台頭で流通業界の競争が激化する中、不振の総合スーパー(GMS)事業の立て直しやデジタル化への対応などの課題に、若返りで立ち向かう。

   岡田氏は代表権のある会長に就く。「ほとんどのことは吉田社長(に任せる)。私は長期戦略を中心に、さらなるグループ力を発揮できるようにしていきたい」と述べており、強力な院政を敷くわけではないようだが、具体的に、吉田氏とどのように役割分担するのかは、今後の注目点だ。

  • 23年ぶりの社長交代が発表された(イオン公式サイトより)
    23年ぶりの社長交代が発表された(イオン公式サイトより)
  • 23年ぶりの社長交代が発表された(イオン公式サイトより)

巨大流通グループの曲がり角

   創業者の岡田卓也・名誉会長(94)の長男である元也氏は、1979年にイオンの前身のジャスコ入り、97年に社長に就任。M&A(企業の合併・買収)による事業拡大を推進し、2013年に経営再建中だったダイエーを子会社化したほか、地方スーパーなども次々と傘下に収め、グループ店数は国内外で約2万2000店に達する。

   ただ、地方の郊外店は過疎化、高齢化にさらされ、食品や衣服などを幅広く取りそろえるGMSの苦戦が目立っている。これを見越し、専門店を多くテナントに構えるイオンモールの出店に力を入れ、また金融を含めた事業の多角化も進め、売上高8兆超の業界最大手に育てた。しかし、ユニクロやニトリといった専門店、アマゾンや楽天といったネット通販の台頭もあり、GMSはもちろん、モールの魅力も薄れてきているのが実情だ。

   その収益構造をみると、巨大流通グループが曲がり角に来ている実態が鮮明になる。ライバルのセブン&アイ・ホールディングスと比べると、イオンは2019年2月期の営業収益(売上高に相当)約8兆5000億円の36%を占めるGMS部門と同38%を占めるスーパーマーケット(SM)事業が営業利益ではそれぞれ5.4%と12%しか稼げず、営業収益4.2%のデベロッパー部門と同5.1%の総合金融部門がそれぞれ営業利益の26%と33%を占める。一方のセブン&アイは、全体の6兆8000億円の営業収益のうち、国内コンビニ部門はロイヤリティ収入が中心のため14%を占めるに過ぎないが、営業利益の60%を稼ぎ出す。営業収益の28%を占めるスーパーストア(GMSを含む)は利益の5%、さらに金融関連部門が利益の13%となっている。セブン&アイも多くの課題を抱え、これにイオンが絶対的に劣っているというわけではないが、セブン-イレブンのような圧倒的な強みがないのが泣き所だ。

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