仮想通貨「ネム」(通貨名称:XEM)に関連したビジネスが国内で広がっている。
仮想通貨ビジネスと言えば、ブロックチェーン上で契約を自動履行する技術・スマートコントラクトを持つイーサリアムなどが表舞台に上がりやすいが、取引処理の速さから、ネムのブロックチェーンを実装したビジネスが多分野で進む。
ブロックチェーンで再エネの発電元を明確化
ネムは、英語で新しい経済運動(New Economy Movement=NEM)を意味し、2015年に開発がスタート。ブロックチェーンの合意形成の方法として、コインの「保有量」や「保有期間」などから得られるスコアで図るプルーフ・オブ・インポータンス(PoI)を採用しており、ブロックの生成時間がビットコインの10分の1にあたる1分。速いデータ処理速度が強みだ。
新電力のみんな電力(東京・世田谷)は、その特長に目を付け、再生可能エネルギーを消費者に提供する電力取引プラットフォーム「エネクション2.0」にネムのブロックチェーンを採用している。ブロックチェーンを活かし、再エネ発電事業者や、FIT(固定価格買い取り制度)切れ住宅太陽光の生産消費者といった発電元を、詳しく把握・証明できるように設計。電力は、再エネの利用を強力に進める国際イニシアチブ「RE100」の加盟企業を中心に供給しており、契約する事業者・個人は100余りに及ぶ。
さらに同社は2020年、再エネの電気を使う企業が発電事業者に投資ができる仕組みを導入する。ブロックチェーンを生かした電源トークン(仮称)を、投資した企業に付与。投資元の企業は、電源トークンの保有量に応じた電力を一定額で受け取る権利の取得が可能になる。電気の消費者自らが再エネ電源に投資でき、発生電力でリターンを得るという「発電価値の取引」の実現を図る狙いだ。