海外YouTuberのボクシング進出 レジェンド王者は苦言「サーカスではない」

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   人気ユーチューバーによるボクシングの試合について元世界6階級制覇のオスカー・デラホーヤ氏(46)が警鐘を鳴らした。海外専門サイト「ボクシングシーン」が報じている。

   ここ最近、海外の人気ユーチューバーがボクシング界に進出し、大きな話題となっている。ユーチューバーによる試合に関しては賛否両論あるなか、デラホーヤ氏は安全面などの理由から否定的な見解を示している。

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世界戦が前座扱いでファンから怒りの声

   デラホーヤ氏は具体的な名前や試合を出さずに持論を展開。「(ボクシングの試合をする)ユーチューバーはジョークと考えているかもしれないが、ボクシングは危険なスポーツでジョークではなくリアルだ。ボクサーはリングの上で命がかかっているし(ボクシングは)サーカスではない。このような試合はボクシングの価値を下げるだけだ」と語っている。

   昨年(2019年)11月、米ロサンゼルスで行われた人気ユーチューバーによるボクシングの試合が全米で大きな注目を浴びた。プロボクサーとしてリングに上がったのは、ユーチューブチャンネルの登録者数が2000万人を超える米国で人気のローガン・ポール。対するは英国人ユーチューバーのKSIだ。両者は2018年8月にエキシビションとして拳を交えており、これが再戦だった。試合はクルーザー級の6回戦で行われ、2-1の判定でKSIが勝利を収めた。

   技術的な問題は別として、両者ともにカリフォルニア州のコミッションからプロライセンスを取得しており、ルール上はなんら問題のないものだった。だが、ボクシング関係者やファンからは批判的な声は少なくなかった。なぜかといえば、この試合のアンダーカードに2つの世界戦が組み込まれたからだ。権威ある世界戦を前座扱いしたため、関係者、ファンから怒りを買ってしまった。

ヘビー級王者らはユーチューバーを支持

   一方、興行面でいえばユーチューバー決戦は大成功だった。この試合は動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」が中継し、英国ではスポーツ専門チャネルがペイ・パー・ビュー(PPV)で試合を中継。人気ユーチューバーの試合とあって、若い世代から注目が集まったようで、どちらもボクシングの試合中継のなかでトップクラスの数字を出した。リングサイドには有名人が顔を揃え、カナダの人気歌手ジャスティン・ビーバーさんがポールの控室を訪れる動画がアップされ大きな話題となった。

   デラホーヤ氏のように苦言を呈する関係者がいる一方で、現役選手からはユーチューバーのボクシング進出を支持する声が多く上がっている。海外メディアは、ヘビー級の3団体統一王者アンソニー・ジョシュア(英国)、WBC世界ヘビー級王者デオンテイ・ワイルダー(米国)をはじめとするヘビー級トップ選手らの支持の声を伝えている。新たなファン獲得の手段として効果的というのが主な理由で、ボクシング界は変わるべきという意見も。

   20年1月30日に米マイアミで3大世界戦が予定されており、このアンダーカードにユーチューバーによる試合が組み込まれている。ポールの実弟ジェイク・ポールと英国人のギブがライトヘビー級6回戦を行う。両者のユーチューブチャンネルで記者会見の模様などの動画がアップされ、注目度は増している。エンターテイメント色が強いユーチューバー対決はボクシング界に必要なのか、それとも不必要か。論争は続きそうだ。

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