「鉄とシロップの酸が反応して水素が発生」のケースも
それらを見ると、パイナップルの缶詰がパンパンに膨れて爆発していたり、カゴに入れた缶詰が爆発して果物などをミックスするブレンダーが壊れてしまったりした様子の写真が出ていた。
ネット上では、「怖い!こんな事になるなんて!!びっくり」「怪我が無くて何よりでした...私も気を付けます」といった声のほか、缶詰を巡る様々な報告も書き込まれている。賞味期限を5年過ぎたサバ缶が会社の棚にあるのを思い出した、パンパンに膨らんだ缶詰に穴を開けたら部屋中に飛び散った、などだ。
国民生活センターの商品テスト部に取材して聞くと、缶詰の破裂について、2009年4月から20年1月21日までの10年間で、全国の消費生活センターに寄せられた相談件数は22件あった。ケガをしたケースはなかったものの、うちケガの恐れがある「危険」と判断されたのは、17件も占めている。
事例としては、賞味期限を5年ほど過ぎたフルーツ缶が破裂して、缶の下側が膨れ上がり上側が開いていた(18年10月)、同じぐらい古いアンズ缶が戸棚の中で破裂し、キッチンにいて大きな音がした(同年8月)、といったケースがあった。ともに、危険と判断されたそうだ。
生活協同組合コープこうべの商品検査センター(神戸市)によると、フルーツ缶の内面は、鉄にスズをメッキしたブリキでできており、賞味期限を過ぎると、スズの溶け出しが多くなって鉄が露出してしまう。すると、鉄とシロップの酸が反応して水素が発生し、缶が膨らんで破裂することもあるという。
原因はほかに、製造時の加熱不足や密封状態の不良で細菌が中身を腐敗させ、ガスを発生させることで破裂することもあるとしている。
センターの担当者は、ここ3年ぐらいは缶詰が破裂したケースを聞いていないとしながらも、破裂を防ぐための対処法をこうアドバイスする。
「災害用などに保管している缶詰については、期限を見ながら食べるローリング・ストック法が有効でしょう。無駄なく、新しく缶詰に変えられますからね。缶詰が膨張したときは、バケツの水に入れて、水中で穴を開けると徐々に空気が抜けます。そうすれば、内容物が飛び散るのを防ぐことができると思います」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)