香川県「ゲーム規制」新素案 どこが変わり、どこが変わらなかったのか?

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   18歳未満の子どもがインターネットや「コンピューターゲーム」の依存症になるのを防ごうと、その利用時間の制限を含む条例の制定を進める香川県議会が素案をまとめた。

   今回の素案では、利用時間の一部の制限対象について、「素案のたたき台」段階では「スマートフォン等」(パソコンやゲームを含む)となっていたのを「コンピューターゲーム」に限定するなどした。利用制限に対しては、ネット上で批判の声があがっていた。今後、パブリックコメント(意見公募)を経て正式な条例案としてまとめ、2020年の2月定例会に提案、4月の施行を目指す。

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今後、パブリックコメントを実施

   香川県議会の「県ネット・ゲーム依存症対策条例」(仮称)の制定に向けた条例検討委員会は2020年1月20日、条例案の素案(20日素案)をまとめた。10日の委員会で「たたき台」文書(10日素案)が示されたが、異論も出てまとまらず、20日の会合となった。10日素案が報じられると、19日までに県へ100件を超える意見メールが寄せられ、県議会事務局によると7割が批判的な内容だった。ネット上でも「行政による規制」を懸念する声が寄せられていた。

   20日素案がまとまったことで今後、予定では1月23日から2月6日までパブリックコメントを実施する。締切後、寄せられた意見も踏まえて検討委員会を開き、正式な条例案としてまとめる。県議会の2月定例会(開会日未定、例年は2月中・下旬)に提案し、可決・4月施行をする流れを想定している。

   10日素案(たたき台)段階で注目された「利用制限」(18歳未満)の内容は、次のようなものだった。

   (1:対象)「スマートフォン等(インターネットを利用して情報を閲覧・視聴することができるスマホ、パソコン等及びコンピューターゲーム)の使用」

   について、

   (2:時間制限)「1日当たりの使用時間が60分まで(学校等休業日は90分まで)を上限」 などとし、

   (3:保護者の義務)「保護者は(こうした)ルールを(子どもに)順守させるものとする」

   と、罰則規定はないものの、義務付けを行っていた。

「スマートフォン等」が「コンピューターゲーム」に限定された箇所も

   上記内容に関係した20日素案での主な変更点は、

   (改1)上記(1)の制限対象について、「スマートフォン等」の部分を「コンピューターゲーム」に限定(「1日60分以内」の制限項目に対して)。

   (改2)上記(2)について、10日素案では「記載された制限内容(1日60分以内など)=(子どもに順守させる)ルール」と読める文章だったが、20日素案では「(記載された制限内容を)基準とする」との表現が加わり、ワンクッションを入れた。さらに、「(順守させる)ルール」は、「前項(保護者が危険性などについて子どもと話し合い、使用に関するルールづくりと見直しを行う)のルール」であると明記した。「前項」の記載は10日素案でも存在していた。

   (改3)保護者に対し、「ルールを(子どもに)順守させるものとする」の部分が、「ルールを順守させるよう努めなければならない」と、努力義務に弱めた――

   などだった。変わっていない点としては、「スマートフォン等の使用に当たっては、義務教育終了前の子どもについては午後9時までに、(略)使用をやめる」などの項目があった。

   県議会としては、世界保健機関(WHO)が2019年5月、ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を国際疾病として正式に認定したことなどを受け、同年9月から対策条例の制定に関する議論を委員会で続けてきた。今回の20日素案では、条例制定の目的について「ネット・ゲーム依存症対策を総合的かつ計画的に推進し、もって次代を担う子どもたちの健やかな成長と、県民が健全に暮らせる社会の実現に寄与すること」を挙げている。また、先に触れた県への意見メールでは、「子どものためにも、一定の歯止めをかけた方が良い」といった賛成派の声もあったという。

   一方、ネット上では「行政が規制する」ことへの反発は強く、今回の修正を経た20日素案の内容が報じられたあとも、ツイッターには「ほとんど変わってない」などと批判が寄せられている。

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