水族館の深海魚をフラッシュ撮影した写真が大手紙ウェブ版ニュースに掲載され、悪影響が出たのではないかとの疑問や批判がネット上で相次いでいる。
この深海魚は、撮影翌日に水槽内で死んでいた。その原因について、水族館の飼育員に話を聞いた。
元々「水槽では、数時間から1晩、長くて2、3日」
鋭く細かい歯が並ぶ大きな口を開け、いきなり水底の岩に噛み付く。エラに傷跡のような赤い模様が6本ほど見え、目をギョロギョロさせながら泳ぐ様子は、まるで海の中の怪獣だ。
和歌山県内の串本海中公園水族館では、2020年1月16日から、熊野灘で捕獲された深海ザメ「ラブカ」の展示を始めた。「生きた化石」と呼ばれ、生で見られるのは珍しい。
ところが、翌17日中には死んだことが確認され、各メディアもそのことを報じた。そのうち、朝日新聞デジタルのニュースに載ったラブカの写真が、ツイッター上などで物議を醸した。
前日に撮った写真5枚のうち、メインの写真に写ったラブカの目が光っていたり、ラブカの背後に濃い影が見えたりしている。フラッシュ撮影が行われたものとみられる。これに対し、強い光に慣れていない深海魚をフラッシュ撮影したのはおかしいと、非難のツイートなども相次いだ。ツイッター投稿やまとめサイトなどの中には、朝日新聞の名前を挙げて、フラッシュが死亡の原因になったのではといった憶測もあった。
さらに、メインの写真はその後、別のカットに差し替えられ、このことについても、なぜ説明しないのかなどと疑問が出ていた。
串本海中公園水族館の担当飼育員は20日、フラッシュ撮影の影響について、J-CASTニュースの取材にこう答えた。
「環境の変化から、深海から引き揚げられた時点でだいぶ弱ってしまいます。水槽では、数時間から1晩、長くて2、3日で死ぬことが多いですね。このラブカは、状態を見ましても、たとえフラッシュ撮影がなかったとしても、長く生きなかったと考えています」