岡田光世「トランプのアメリカ」で暮らす人たち ソレイマニ「殺害」シナリオの本音は何か

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双方が避けた本格的な「戦争」

   国連憲章では、国連安全保障理事会が認めた場合や、武力攻撃に対する自衛権行使を除いて、他国への武力行使を禁じている。

   とはいえ、トランプ氏に殺害を正当化する理由がないわけではなかった。ソレイマニ司令官はこれまでにイスラム教他派などに対して、大量虐殺を含む数々の残虐行為を指示してきた。

   2007年、ソレイマニ氏は国連安全保障理事会決議の制裁対象となった。また2019年には、米国がイラン革命防衛隊をテロ組織に指定した。

   2019年12月27日には、米軍が駐留するイラク北部の基地がミサイル攻撃され、複数のアメリカ人が死傷した。イラン革命防衛隊が支持する軍事テロ組織による犯行とされている。31日、同組織はイラクにある米大使館も攻撃した。1979年に起きた在イラン米大使館人質事件の二の舞になる、との恐れもあった。

   今回の殺害について米国務省は、「米国民への差し迫った攻撃を阻止するため」であるとし、「ソレイマニ氏がさらなる攻撃を計画していた」と主張する。

   殺害を受け、イラン最高指導者アリ・ハメネイ師は米国に対して厳しい報復攻撃を宣言した。

   イラン軍は2020年1月8日、在イラク米軍基地にミサイルを発射。イランはイラクに対して事前に発射を通知。イラクはその情報を米軍に伝えたため、米兵に死傷者はなかった(米軍属1人が死亡)とされている。

   イランでは複数のメディアが、「この攻撃で米国のテロリストが少なくとも80人死亡した」と報道。イランの国民感情に訴えると同時に、米国との戦争を避ける形となった。

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