三井住友カード「番号を裏面に」の衝撃 「エンボスなし」は業界標準になるか

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   クレジットカード大手の三井住友カード(SMCC)が、新デザインのカード券面を発表した。

   シンプルな表面には、最小限の情報しか記されていない。一番のポイントは、カード番号や有効期限が背面に配されること。一見スタイリッシュだが、どんなメリットやデメリットがあるのだろうか。

  • 表面はシンプルになった
    表面はシンプルになった
  • 裏面に情報が集約された
    裏面に情報が集約された
  • 表面はシンプルになった
  • 裏面に情報が集約された

カード番号、有効期限、セキュリティコードが「集結」

   SMCCは2020年2月3日から、同社が発行する全カード(提携を除く)を新デザインにする。イメージ画像を見ると、表面からは長年シンボルマークだったパルテノン神殿が姿を消し、社名とVisa(ビザ)などのブランドロゴ、ローマ字の氏名などを残し、シンプルなデザインになっている。

   カード番号や有効期限は、セキュリティコードや署名欄のある裏面へ移動する。ひとつの面に集約することで、利用時の盗み見リスクを低減し、個人情報保護レベルが向上するとしている。加えてVisaブランドでは、裏面のカード番号が4ケタずつ縦に並ぶ「クイックリード」のデザインを採用する。これらは新規発行に限らず、既存会員も有効期限更新などの際に、新カードに切り替わるという。

   また大きな変化として、「券面のフラット化」がある。一般的なクレカでは、カード番号と有効期限、氏名などがエンボス(凹凸)加工によって、表面に刻印されている。しかし新デザインでは、情報の背面化にともない、刻印ではなく印字された券面となった。財布に入れても、分厚くなりにくいのは大きなメリットだ。

   エンボスレスの先駆けとなったのは、JR東日本系のビューカードだ。内蔵されるSuica(電子マネー)の配線と干渉しないよう、凹凸のないデザインとして採用。しかし、海外の一部ではカードリーダーに磁気を読ませるのではなく、「インプリンタ」と呼ばれる機器を使い、圧力をかけてエンボスを伝票に転記させる処理方法もある。デジタル化の波によって、影響は少なくなっているだろうが、海外旅行や停電、システム障害などで不便を強いられる可能性はゼロではない。

シンプルなデザインが増えつつある

   ツイッターを見ると、番号と有効期限、セキュリティコードが、ひとつの面に集約されている事への懸念も多々ある。従来の券面では、表と裏をそれぞれ見る手間があった。善人の「便利」は、悪人も同じ。一目で把握できるようになると、かえって悪用される危険性が高まるのではないかとの声だ。一方で、新デザインであれば、親指1本でも3つの情報を大部分隠せそうだ。このあたりの評価は、人によって変わるだろう。

   このところ、新規発行カードが続々と、シンプルなデザインを打ち出している。代表例が19年夏に登場した「Apple Card」(日本未上陸)だ。アップルのロゴマーク(リンゴ)と氏名、ICチップと、券面の情報は最小限にとどめられている。

   国内でも同様に、決済サービスKyash(キャッシュ)が20年初頭に発行予定のプリペイドカードが「表面にカード番号が記載されていないデザイン」を売りにしている。また、LINE Payが発行予定のクレジットカード「Visa LINE Payカード(東京2020オリンピックエンブレムデザイン)」も、19年10月時点でのデザインイメージは、非常にシンプルなものになっている。

   これらのイメージ画像を見ると、デザインよりもサービスで勝負といった気概を感じる。SMCCはこのカードを通して、「新しいスタンダード」を提案するという。業界大手の提案に、ライバル各社はどう反応するのだろう。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)

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