世論と違う結果出ると「韓国の読者から大変な攻撃にさらされる」
日本がファクトチェックの対象になることもある。同センターのファクトチェックで、「日本」という文字が含まれるものは約200件。日本に関連する出来事が検証の対象になったり、日本のデータが比較対象として用いられたりしているケースだ。東京五輪や、福島の放射線をめぐる問題に関する関心が高いという。ファクトチェックセンターでは、これらの問題について、民放のSBSとファクトチェック専門機関の「ニューストップ」を支援している。
例えば、「東京の『ホットスポット』は、レントゲン写真を100万回撮る(被ばく)量である」という書き込みには、現地に出向いて放射線量を測定した結果などから「まったく事実ではない」と結論づけた。
ホットスポットについての検証結果は、「韓国人からすれば『日本寄りの判断をした』ということになる」(チョン氏)。それでも丁寧に説明していくことの必要性を強調した。
「こういった場合は、韓国の読者から大変な攻撃にさらされる。取材した記者は、その攻撃に対して、ひとつひとつ反論し、説得にあたる。根拠のない非難や批判に対して、合理的な事実をもって説得するというのがファクトチェックの目的だと、この記者は考えている」
チョンさんに続いて、公共放送KBSの記者出身で、全国言論労働組合主席副委員長を務めるソン・ヒョンジュン氏が登壇。テレビ番組でのファクトチェックの取り組みを紹介した。ソン氏は
「日韓の不協和音を最小化するのが民間の役割だが、それを担う韓国の保守的メディアが間違った記事を書き、それをそっくりそのまま日本の保守的メディアが引用して日本に伝える。そのために国民同士が対立してしまう」
などとして、ファクトチェックを通じた日韓協力が両国関係の改善に寄与することを訴えた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)